岩波文庫<br> 日本的霊性

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岩波文庫
日本的霊性

  • 著者名:鈴木大拙/篠田英雄
  • 価格 ¥924(本体¥840)
  • 岩波書店(2018/12発売)
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  • ISBN:9784003332313

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内容説明

現代仏教哲学の頂点をなす著作であり,著者が到達した境地が遺憾なく示される.日本人の真の宗教意識,日本的霊性は,鎌倉時代に禅と浄土系思想によって初めて明白に顕現し,その霊性的自覚が現在に及ぶと述べる.著者は,日本の仏教徒には仏教という文化財を世界に伝える使命があると考え,本書もその一環として書かれた.

目次

目  次

 緒  言
  一 日本的霊性につきて
  1 「精神」の字義
  2 霊性の意義
  3 霊性と文化の発展
  4 霊性と宗教意識
  5 日本的霊性
  6 禅
  7 浄土系思想
  8 禅と浄土系──直接性

 第一篇 鎌倉時代と日本的霊性
  一 情性的生活
  1 万 葉 集
  2 平安朝文化
  3 大 地 性
  二 日本的霊性の自覚──鎌倉時代

 第二篇 日本的霊性の顕現
  一 日本的霊性の胎動と仏教
  1 仏教と「外国渡来」の思想
  2 シナにおける仏教
  3 日本的霊性と仏教
  4 鎌倉時代における日本的霊性的自覚の発現
  二 霊  性
  1 現実の否定
  2 超個己性の人
  3 日本的霊性なるもの
  4 『歎異鈔』における日本的霊性的自覚
  5 日本的霊性と大地
  6 霊性のまことと深さ──一人
  7 一人──一文不知者──の自覚
  三 日本的霊性の主体性
  1 仏教への進出
  2 霊性のはたらき方
  3 日本的霊性的直覚
  4 親鸞の日本的霊性の背景
  5 伊勢神道
  6 根源的なものに到る途
  7 霊性の仏教的顕現
  8 神道と仏教
  9 霊性的直覚の時間性
  10 仏教の通俗化ということ
  11 伝統への随順と信

 第三篇 法然上人と念仏称名
  一 平家の没落
  1 平家物語──法然出世の意味
  2 鎌倉武士の念仏
  二 浄土系思想の様相
  1 念仏──浄土往生──祈り
  2 念仏称名の相続──一念の今
  3 『一枚起請文』と日本的霊性的直覚
  4 法然上人と正三道人
  三 念仏と「文盲」
  1 法然の受けた迫害の意味
  2 日本的霊性と「愚痴文盲」
  3 「無学」の武人と法然
  4 再び「愚痴」や「文盲」と霊性的なるもの
  四 念仏称名
  1 『二枚起請文』における念仏称名
  2 「南無阿弥陀仏の主」になること──仏恩報謝
  3 村田静照和上の念仏相続
  4 念仏と胴の坐り──霊性的自覚──猛獣退治──敵陣突貫

 第四篇 妙 好 人
  一 赤尾の道宗
  1 道宗の生立ち──蓮如との関係等
  2 二一か条
  二 浅原才市
  1 才市の生立ち
  2 「なむあみだぶつ」の歌
  3 歓喜と慚愧
  4 「あみだ三にあみだ三貰う」
  5 仏の才市、才市の仏
  6 往 生 観
  7 衆生済度
  8 才市の悟り
  9 味──体験──今
  10 仏凡一如観──「愚痴」論
  11 才市と趙州
  12 娑婆と浄土
  13 情性的と知性的
   解  説……篠田英雄
   索 引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

molysk

67
霊性とは何か。精神と物質の二元的対立を超越したところに、霊性は存在する。あるいは、人間の精神活動で、感性、情性、知性、意欲という心的作用では説明できないはたらきである。我々の心の最も奥深いところにある、心の本体である。日本的霊性とは何か。日本民族の霊性は、浄土系思想と禅が、もっとも純粋な姿であるという。禅に関する説明は他書に任せて、本書は浄土系思想の解説に重きを置く。親鸞は配流先の越後や関東で農民に教えを説く中で、大地と生きる思想を深めた。そして、武装した農民である鎌倉武士を、宗教に目覚めさせたのだ。2024/02/25

井月 奎(いづき けい)

47
「日本的霊性」とは記紀万葉において土着の信仰心が形を現し、その当時に入ってきた仏教が平安時代での日本的美意識と退廃的な世界観を経てのちに鎌倉時代の武士社会においてはっきりと顕在した哲学的克己心、宗教観、死生観と人間以上の存在に帰依する人類愛のこと、そうとらえました。最終章の妙好人、浅原才市のそぼくな阿弥陀仏への詩が読み解きを、この読書への歩むべき道を示唆してくれました。読み落としは大きいものがあるはずで再読すれば枝葉は増えると思いますが、幹は、その木の種は間違っていないはずだ、そう信じて頁を閉じました。2020/04/26

獺祭魚の食客@鯨鯢

43
「禅」を世界に広めた知の巨人の代表作の一つです。禅はインドの達磨大師に由来し日本に渡来しましたが、西洋人は禅と言えば鎌倉仏教の座禅を想起するほど日本オリジナルだと思っています。 禅は瞑想といった、近代合理主義の行き詰まりに悩む現代人にとってと「自己回復」の手法としてとても有効ものだと思います。 日本人は文明のオリジナリティはないが、それを純化して精緻にする能力に長けていると思いますが、これも発祥の地で途絶えた思想を現代に華開かせている成功例の一つとしてとても感慨深く思います。2019/09/09

松本直哉

35
兵士が南無阿弥陀仏と唱えながら敵陣に斬り込んだ挿話を紹介していて、聞き捨てならない。常時も非常時も自らのなすべきことをなすのみ、というのも危険な思想。1944年の執筆当時の国粋主義に著者も無関係でなかった。わざわざ日本的なものを特定しようとする姿勢にもそれは現れる。日本と日本以外を問わず普遍的に人の心の奥底にある霊性を探る方が実りが多いはず。禅と浄土教が日本的霊性の具現だそうだが、どちらも鎌倉時代の狂い咲きのような思想で、その後の思想史に与えた影響は少ないし、優れた後継者もいなかったように思えるのだが。2020/06/12

アミアンの和約

32
仏教学者で自身もお坊さんであった鈴木大拙の代表作。平安朝までは霊性(宗教観)を自覚していなかった日本人が、鎌倉期に禅宗と浄土宗が入ってきたことでそれに目覚めた。その立役者こそが法然と親鸞だとする。浄土宗のことを詳しく知ることができる。仏教用語が多く、難解な本であった。法然や親鸞の著作を読んでからまた読むのも良いかもしれない。ところで「個己」という見慣れない単語が多く使われていたが、この読み方は「こき」で良いのだろうか?2023/08/24

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