内容説明
520人の命を奪った、史上最大の航空機事故から四半世紀。遺族たちは何を思い、どう生きてきたのか。頭にやきついて離れない凄惨な現場、日航との補償交渉、理不尽な事故調査、事故が風化してしまう恐怖……。遺族会である「8・12連絡会」の事務局長が、これまでの歩みを克明に振り返った感涙の記録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タカラ~ム
16
8月は慰霊の月だ。8月15日の終戦の日に向けて広島、長崎の原爆忌があり、日本中が戦争について考える。そして、8月12日がある。1985年に日航ジャンボ機が御巣鷹山に墜落し520名の命が失われた日。本書は事故で9歳の次男を失い、現在は「8・12遺族会」の事務局長を務める著者が2010年に記したもの。幼い息子をひとり事故に遭わせてしまった苦悩と後悔、事故を二度と起こしてほしくないという願い。ただ悲観的に記すのではなく、事故を教訓として空の安全を高めてほしいという遺族の願いが伝わってくる。2017/08/12
らぴ
12
息子を亡くした哀しみを、事故遺族との連絡会を設けることで空の安全を守ろうと明日への活力にした著者。日航という巨大な組織に対して遺族の意見を冷静にまとめて提出したり、恨んだり憎んだりするだけではなく、日航の社員たちと心の繋がりも得ている著者に、非常に感銘を受けた。事故は人の命を奪うだけではなく、残された遺族の人生も大きく変えてしまうものなのだと、改めて思った。2010/10/04
ぐうぐう
9
大きな事件や事故が起こったときに私達は胸を痛め、この悲劇を忘れてはならないと心に刻むが、数年後、さらに大きな事件・事故が起こると、いとも簡単に前の悲劇を忘れてしまう。しかし遺族にとって、その後、いかに悲惨な出来事が社会で起ころうが、忘れ去られることはないのだ。本書は、1985年の日航機墜落事故で9歳の息子を失った母親が、事故から25年を経て記した手記なのだが、事故直後の悲痛、忘れえぬ息子への想いを綴った記述は、涙なしでは決して読めない。それだけではない。(つづく)2012/11/07
Hiroki Nishizumi
8
思わず涙腺が緩む。遺族にとっては書くことはもちろん、思い出すことも忘れることも何もかも辛いのではないか。それにしても不可思議なのは事故原因だ。この本は主題ではないので基本的にその問題には立ち入らないように注意しているが、それでも何行か腑に落ちないとの記述がこぼれ出ていた。素人の自分は事故調の見解には納得できない。やはり真実を明かすことが本当の忠霊ではないか・・・2013/10/01
お抹茶
3
JAL123便墜落事故遺族の手記。喪の悲しみは乗り越えるものではなく,悲しみに向き合い,同化して亡くなった人と生きていく。墜落原因とされた圧力隔壁の修理を行ったボーイング社への捜査はできず,日航への企業責任も問えなかった。不起訴によって,どのような過ちがなぜ起きたのか明らかにしたいという希望は叶わなかった。身元不明の遺品は社会のもの。検察や警察は原因究明や再発防止ではなく責任追及を目的としているため,再発防止には独立した機関が必要。遺族にとって事故報告書は重要。2017/10/22
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