内容説明
現実と歌舞伎の物語が交錯する二重構造悲劇。
綾野姚子という無名で、しかも故人による新作歌舞伎『大内御所花闇菱』が上演される。妹で新劇女優である綾野曙子は、その当日、劇場内で死んだはずの姉の姚子とよく似た女性を見かけるが、彼女は何者かに刺されてしまう。
曙子は何者かがその女性を刺す時、「死んだんじゃなかったのか」とつぶやくのを聞く。見えない何かに導かれるように姉の秘密を探るうち、曙子は京都『早蕨』の門前で四つの風鈴に出会う。物語に出て来る風鈴……。
山科の山中の窯で風鈴を焼く青年を訪ねる曙子を、妖しい運命が待ち受ける。現実と併行して展開する新作歌舞伎の物語という、著者面目躍如の妖艶にして耽美的な直木賞候補作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コットン
69
無名の劇作家(姉)が書いた戯曲『大内御所花闇菱』が花々しくデビューをとげる。ただ、この時既に姉は亡くなっている。妹は亡くなるまで数年の姉の生活を知るため京都へと…。現実と戯曲が平行して進む手法と鈴をからめたあたりが面白い。妹がある男の視線に会った時、形のないものにつかまり心を奪って消えた。と言う辺りから読むスピードがアップした。2019/04/02
波璃子
7
戯曲と現実をさ迷い続け、魔のような美しさに囚われ最後には何も分からなくなる。2020/03/03
なずき
2
赤江瀑の長編。歌舞伎の戯曲を間にはさみ、絢爛な世界観で直木賞に落選した時の講評よりぜんぜんおもしろい印象。「闇日輪」の笛を聞いてみたいなあ。風鈴づくりの兄ちゃんは、いくら根底に主人公の姉が兄を好きになるのに嫉妬…という気持ちがたとえあったとしても、言葉の暴力に肉体的な暴力でとても具合が悪くなる。ちょっと古い価値観の話かも…読後感はよくない2019/09/02
songbird
0
☆☆☆ 電子版2020/07/24
アレカヤシ
0
没頭しました。 素晴らしい。 またまたホモ気多し。2019/03/05