内容説明
1968年(昭和43年)12月10日、府中で起きた「三億円事件」。白バイ警官に扮した犯人は盗んだ三億円とともに永久に消えた。昭和を代表するこの完全犯罪事件に、人気のミステリー作家5人が挑んだ競作アンソロジー。事件に翻弄される者、助けられた者、模倣する者、犯人に恋する者――。事件を題材に描く5つの物語は、謎の真相に迫れるのか?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
小説を最初に書いた人にありがとう
117
三億円事件は自分が生まれた年に起きたのか!?と思いつつ手に取った一冊。三億円事件を題材に何人かの作家によるアンソロジー。なぜ人は三億円事件に惹かれるのか?それは人の命を奪うとごろか暴力すら振るわずに大金をせしめた見事さから来るのだろう。全くの謎で終わっていることが魅力なのだろう。今作もいろいろな切り口で紡がれて楽しめた。特に一話目の下村敦史の話が切なくてよかった。それにしても、三億円事件と坂本龍馬の暗殺者は昭和、平成、そして次の時代も日本人の興味は続く気がする。2019/03/26
ごみごみ
71
昭和の未解決事件「三億円事件」をテーマにしたアンソロジー。自分が生まれる前の事件だけど、何度か再現ドラマやドキュメンタリー番組で観たことがあり、事件のあらましについてはなんとなく知っていた。5人の作家さんそれぞれが描く完全犯罪の真相、その後・・どれもリアルで興味深い。下村さんの「楽しい人生」と織守さんの「初恋は実らない」が好みだった。今野さんの「特殊詐欺研修」は少し趣向が違ってオチもなんとなく読めたけど、面白かった。謎に包まれたままのこの完全犯罪、真犯人が真相を語ってくれないかなあ!? 2021/01/16
fwhd8325
71
この事件、学校から帰って、テレビを見ていたら、ニュース速報で流れたんです。あの頃、三億円という金額に驚いたのと、現実感のない大きさを感じました。結果的に犯人は逮捕されず、伝説の事件のようになってしまったと思います。現実に起きた事件なのに、フィクションのように感じます。多くの人が、このドラマを見ていたような感覚です。 「初恋は実らない」が面白いと思いました。2019/03/14
森オサム
70
私が生まれた年に起きた歴史に残る大事件、三億円事件。ミステリー作家5名(下村敦史、呉勝浩、池田久輝、織守きょうや、今野敏)による競作アンソロジーです。初読みさんは、池田氏、織守氏の2名。事件に真正面から行ったのは下村氏のみで、呉氏は斜めから、他はスカしばっかりで好みでは無かった。未解決事件になったのが不思議な位、目撃者や証拠が多く有ったのですねぇ。何か裏が有りそうだ、と想像できるのがこの事件の魅力なのでしょうが、流石に50年も経つと諸説も出尽くした感が有るのかな?。結構気に入ったのは、呉氏の作品でした。2019/11/09
森林・米・畑
61
1968(昭和43)年12月10日、東京府中で起きた三億円事件。犯人見つからぬまま終わった事件で有名であるが、その事件を5人の推理作家が書いた短編集。色々な想像力や切り口があり面白かった。遥か53年も前の事件内容だけでなく、当時の生活や社会情勢も知ることが出来た。2021/07/12