内容説明
祝儀能殺人事件を解決した労を称えられ、稲生下野守から茶会に誘われた多田文治郎。世に名高い陶芸家・沼波弄山が主催する茶会は趣向を凝らした宴席へと続いたが、山場となった江戸では珍しい「普茶料理」の最中、厠に立った客が何者かに殺される。犯人は列席者の中に? 手口は? 文治郎の名推理が始まった。人気の時代ミステリ、待望の第三弾!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nobby
114
多田文治郎推理帖3作目。江戸に居を構えた萬古焼の俊英の陶芸家が催した宴で起こる殺人。物珍しい「普茶料理」がふるまわれる様や趣向を凝らした陶器や踊りなど宴席には大変興味惹かれる。事件に関わる人物や場面は狭い中で、地道な聞き取り進める展開は地味ながらも面白い。自分が行き着いた犯人や背景は、おおかた重なったものの何とも穴だらけの推理(笑)それに比べ文治郎が明かす真相は実に深みがある。ここにまた駿才の数寄や守護がまねいた事態がせつない…前半もう描かれていた数々の些細な事柄が伏線と分かる度に思わず声を漏らすばかり。2019/02/06
aquamarine
71
多田文治郎シリーズ三作目。今回は陶芸家・沼波弄山主催の茶会が舞台。当時は珍しい「普茶料理」の最中に厠に立った客が殺されます。安定の時代ミステリで安心して物語の世界に浸かれました。歴史に疎い私でも知っている実在の人物たちが会話し、話にかかわってくるのはとても楽しいです。今回は事件の起こるまでの経緯や背景に本当に心を抉られました。トリックはそれほど凝ったものではないので、多少想像のつく部分もありますが、経緯や背景などの関係で逆にそれでいいのだと思います。今回も綺麗な説明で、読みやすく堪能しました。2019/06/16
サケ太
13
好きなシリーズ。今回は非常に虚しく、悲しい物語。宴の席で起こった殺人事件。此度も文治郎の智慧が冴え渡る。が、どちらかというと地道な聞き取り調査、そしてかつての因縁がメインか。萬古焼や普茶料理が取り上げられてて面白い。2018/12/07
読書好き・本屋好き堂
4
シリーズ第3弾。 祝儀能殺人事件を解決した労を称えられ、稲生下野守から茶会に誘われた多田文治郎。世に名高い陶芸家・沼波弄山が主催する茶会では江戸では珍しい「普茶料理」が振舞われる。それを楽しみに出かけた文次郎だったが、またしても茶会の最中に、厠に立った客が何者かに殺される?! 文次郎が訪れるところ、殺人事件あり😅今回も文次郎の名推理で鮮やかに謎を解き明かす! 鳴神先生の作品は実在する人物も登場するので、歴史としても興味深いです✨ 時代本格ミステリー、是非続編を読みたいです😊2022/08/24