内容説明
同族会社、墨田鉄工所社長の川野宗平は少数株を凍りつかせたまま放置。理不尽に泣く少数株主を救うため、豪腕弁護士の大木と、伝説のエリート経営者・高野が立ち上がる。少数株は法外な相続税を負わせる疫病神にもなれば、20倍の価値に跳ね上がることもある。紙くず同然の株を大金に変えろ!法律を熟知した企業弁護士が描く怒濤の逆転劇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Lara
75
初めての、牛島信氏の作品。読み始めは、非上場株式会社の株売買の話、高野カリスマ株屋と同級生大木弁護士の会話、それぞれが進むが、ちょっとげんなりの部分があった。しかし、進むにつれて「少数株主」に焦点が狭められ、その株主のおばちゃん達も、それぞれ望む形、利益が得られたことで一安心。楽しませていただきました。2020/07/25
てつのすけ
42
非公開会社の少数株主の権利は、公開会社の権利に比べ、ほとんど価値を有さない。譲渡承認請求も、ほとんど意味をなさないであろう。 商法から会社法と名称が変わっても苦手だ!しかし、本書を読み、会社法を、もう一回勉強してみようかなと思った。これだけでも、本書は価値ある一冊といえるだろう。2020/02/14
Walhalla
35
非上場同族企業の少数株式の処分について描かれた作品でした。著者の牛島信さんの作品は、法律経済小説の分野のものが多いですが、とても勉強になります。著者が代表を務める法律事務所のホームページを拝見すると、「少数株主対策チーム」としての活動について掲載がありますが、こういった実情を小説として読めるのは嬉しいですね。2020/02/17
まつうら
22
非上場企業の株を手に入れる機会なんてほとんどないので、まあそういう世界もあるのだろうと思って読み進めていたら驚いた。それは、非上場企業の内部留保が150兆円(!)もあるということ。日本の国家予算よりも大きな資金が、日本企業の99%を占める企業の中にため込まれているという事実。。。 内部留保とは、言い方を換えるなら「死に金」だ。こんなところに経済活性化のヒントがあったのだという、とても意外な気づきを与えてくれた一冊。
Good Tomorrow
8
日本には株式会社がおよそ250万社あり、非上場企業は99.8%を占める。多くは同族会社。少数株主として株式を持つ人と、非上場の法人のコーポレートガバナンス(企業統治)をテーマにした経済金融小説。タイトルの原案は「日本解凍法案大綱」だったそう。同族会社の少数株主が経営に関与しガバナンスが改善されると、多額の内部留保や凍結した不動産が流動化するので日本経済が再起動する、というとても大きな構想。テーマは面白かったです。プロット・構成がやや残念な印象。著者は弁護士。プロの職業作家との違いを感じる読後感でした。2021/12/26