内容説明
産業規模の拡大とともに、文化的重要性が増しつつあるビデオゲーム。
本書は、ビデオゲームを一つの芸術形式として捉え、その諸特徴を明らかにすることを試みる。スペースインベーダー、ドンキーコング、テトリス、パックマン、スーパーマリオブラザーズ、ドラゴンクエスト、電車でGO!――多くの事例をとりあげながら、ビデオゲームを芸術哲学の観点から考察し、理論的枠組みを提示する画期的な一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
左手爆弾
6
圧倒的な労作であり、ビデオゲームについて本格的な批評をする場合には本書を読むことはもはや避けられない。しかし、本書は難しい。なぜ難しいのかといえば、「ゲームで遊ぶ」という多くの人にとってごく当たり前のことを改めて分析しているからだ。「プレイヤーがゲーム内のキャラクターを操作してアイテムを入手し、ステージをクリアする」といった、ゲームをプレイしたことがある人ならばほとんど迷いなく理解できることにひとつひとつ検討を加えている。「現実」にいるプレイヤーが虚構たるゲームに介入できること自体が大いなる不思議なのだ。2020/07/27
たいそ
4
2018年。ビデオゲーム作品がビデオゲーム等芸術形式に属する芸術作品として評価される際に普通に評価項目になる特徴を明らかにする。「テレビゲーム」という語については違和感があった。ファミコンの頃は既に使わなくなっていたんちゃう?「芸術的なプレイ」というのはあると思うが、ビデオゲーム自体が芸術形式なのかなぁとモヤモヤ。「押すとそのゲームに勝利できるボタンがあります。押しますか?」の話はおもしろかった。これはゲーム行為の特徴やね。「哲学における典型的な問いの形は、日常的な事柄について...とは何かを問うもの。」2019/01/18
niz001
4
極々簡単に言うと、こちらのゲームに対する『様々な受け取り方』を先行研究の整理(地味にこれが大事)と補完をしつつ分析してる。良本。2018/12/19
センケイ (線形)
4
美学とあるけれどもかなり包括的な議論になっており、有難い。自分が知る限り日本語で読めるゲーム研究の文献はまだまだ少ないなかの、貴重な一冊。そしてそれだけではなく、既存の有名な書籍にみられる各種の分類・定義の死角を補うかのように補強している。また、自分は美学についてはゲーム研究以上に無知なのだが、この本で与えられるような作品の鑑賞態度(あるいは拡張)は、ゲーム以外に接する際にも役立つ、モノの見方になりそうだ。2018/11/29
とりもり
3
最後まで何が「美学」なのかが分からず。最初は、行為芸術としてのビデオゲームについて論じられるのかと思ったが、途中から虚構世界と現実世界における二つの意味論に話がほとんど集中してしまい、ビデオゲームの芸術性の話は全然出て来なくなるという…。「ビデオゲーム」という「遊び」を巡る哲学的思索としてはこのような議論がメインになるのかも知れないが、タイトルから期待した内容とはおよそ乖離しており、個人的には全然興味が持てなかった。★☆☆☆☆2019/02/03
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