内容説明
いつのまにか「私の考え」が誘導されていた?
トランプを大統領にしたのは「データ」の力だった?
民主主義社会の基盤がいま崩れはじめている!デジタル・テクノロジーが、国境や民族を超えてつながる自由で民主的な世界を産み出している――
だがその一方で、誰にも予想できなかった事態が起こりはじめている。
SNSやビッグデータ、AIなどの進化は、高速で精緻な情報交換を可能にし、社会システムの基層を大きく変化させている。その変化が「人間」そのものを変えつつあるのだ。
ネットは人びとの抑えられてきた感情を増幅させ、共有される匿名の怒りが世界を「部族社会」に細分化し、
データ分析に頼りすぎる判断は選挙や政策決定にも影響を与えはじめた。
プラットフォームを押さえた一部企業が市場を独占し、AIが生みだす新たな労働環境は所得の格差を拡大して、
社会の分断はいよいよ広がっていく――。
テクノロジーが拓く新たな社会状況が直面せざるをえない難問の数々を、データ・テクノロジーの専門家が詳細に分析し処方箋を示す。
トランプ大統領選を陰で支えた「ケンブリッジ・アナリティカ」社のスタッフ等、各方面の現場当事者の肉声を収載。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
148
愚息のレポートをサポートするために、読みました。ジェイミー・バートレット、初読です。2000年以上歴史のある民主主義ですが、ギリシア時代からほとんど進化していないアナログの極みです。当然ながらデジタル・テクノロジーの進化にはついていけないと思います。2019/06/29
kitten
15
図書館本。タイトルだけみて借りてみた。ビッグデータと、それを利用したテクノロジーが、どれだけ力をもっているかという話。4年前にトランプ大統領を当選させたのは、インターネットによる宣伝の力だったそうな。情報技術、AIの進化が世界を変えていく。他人の購買意欲のみならず、投票行動をも変化させてしまう。宣伝に金を使えば何でもできてしまうようだ。投票行動にアプリを使うようになったら、ある意味「終わり」で、それに誘導されてしまうよ、と。googleやfacebookのアルゴリズムが世界を独占している。怖い。2020/12/03
DEE
14
自分はこのような政治的主義に極めて疎いので、色々となるほどなと感心してしまった。 現在の我々が民主主義としている前提にあるのは層の厚い中間層の存在。でも格差が広がれば民主主義を維持するのが難しくなってくる。 政治へのテクノロジーの介入はポリシーの極端な二極化に繋がるという意見には納得。0か1かのデジタルな世界なんだからそりゃそうだよな。選挙がテクノロジーにここまで支配されている現実。わざわざ投票に出向く意味があるのかなと思ってしまう。2019/08/10
wiki
14
結局これもまた使うのは人間なのだから、人間の哲学思想が大いに変革しなければ、どのような対策をしたとて同じ事だと思う。善に使えばこれ程便利なものはないし、悪に使えばこれほど悪いものもない。問題は革命的な技術たるAIやネットの進歩があまりに早く人間の進化が遅すぎるために、それまで挙げられていた好ましくない問題群が、それまでとは桁違いの差となって顕現しており、なおその差が拡がっていく見通しである事だ。根本的には人間であり、その思想であり、価値観の変革が必要で、こうした技術を善用する時代哲学が必要と思う。2018/12/26
みつか
11
デジタルテクノロジーが、いつの間にか民主主義を破壊しようとしている。インターネットが国家という枠組を無意味にしている情報通信の世界。各国の警察や軍隊も持ち得なかった、世界中の人々のプライバシーに関わる大量のデータが蓄積されている。磨き抜かれたアルゴリズムを駆使してデータを分析、個人の欲する情報を送りつける企業。本書はインターネットを通じて得ている情報やコミュニティーが、我々の生活すべてにおいて、影響力をもっていることを説明して、我々の自由意思は、知らず知らずのうちに操作され監視されていることを解き明かす。2019/06/26