内容説明
「口もとが犬の鼻面のように前に突出し、白目がない…真っ黒な二つの目が私を睨み付けた」~「降霊怪談顛末記~あとがきに代えて」より
徹底した現地調査から浮かび上がる恐怖! 実話怪談集!
「わたしを写すと化け物が写る」――心霊スポットで写された自分の顔がどれもこれも凄まじく破壊されていて…まえがきで語られる自身に起こる怪異の数々のほか、家庭内の虐待ゆえにいつも「死にたい」と言っていた中学生の姉、ある夜起きた出来事で…「姉」、ある女優を模した人形のてん末「人形」など、徹底した取材で綴った実話怪談39話を収録。「拙作の実話奇譚は黄泉への恋文」(あとがきより)――奈落の暗闇をのぞいているつもりが、のぞかれているのは――あなただ。
著者について
川奈まり子(かわな・まりこ)
『義母の艶香』で小説家デビュー。実話怪談では『赤い地獄』『実話怪談 出没地帯』『穢死』『迷家奇譚』『呪情』『夜葬』など。共著に『嫐 怪談実話二人衆』『女之怪談実話系ホラーアンソロジー』『怪談五色 破戒』『怪談四十九夜 出棺』『現代怪談 地獄めぐり』など。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
240
川奈まり子さんは何故か殆ど読んでいない作家さんでしたが、本書を読んで陰気な方でなく割とご陽気な雰囲気だなと思いまして何となく岩井志麻子さんに似た匂いを感じましたね。怪談を書く人は精神的に強くて如何なる怪異にも負けない逞しさが必要なのだろうなと思いますよね。怖さと笑いは意外に相性が良くて不思議と結び付くものなのですね。『歯科医』歯科医なのに見える人、でも世間に対しては内緒の斎藤さんの秘密のエピソードです。黒い球:夜の十時頃、子供の睡眠の為に自宅の一階にある診察室でギターの練習をしていると隅の方で影が動いた。2021/05/13
HANA
69
実話怪談集。怪談ともエッセイが混然一体と混ざり合った独特の構成は本書でも健在。怪談自体は割と地味というか普通な話が多いのだけど、そのため一風変わった読後感が味わえる。話の最中に注釈が入るのは賛否あるだろうけど、個人的には好き。何というか現実と超自然が入れ子になってて、いつの間にか地続きになってるような奇妙な浮遊感が味わえるような気がするし。あと本書はニーチェや種村などが引かれていて、今まで以上に衒学趣味に思える。個人的には以前のような随筆主体の怪談が好きなのだけど、もうあのスタイルでは書かないのかなあ。2018/12/10
ミエル
33
実話奇譚シリーズ2冊目、これは私好みの作品が多かった。不思議話、体験談のどれもが興味深い話ばかりで災害や戦争といった当世で避けては通れなかった体験にまつわる話には、どんな結末であれ胸が痛い。受け入れるしかない不幸に巻き込まれていく描写は、他人事でも重く辛い。それとは別で、京都の鬼の話や球体関節人形の話などの強い思念や長年の怨嗟を想起してしまう話も、怖い反面、背景を想像するとやるせない。結論、怪談はせつない。そして、そのせつなさの深みに触れ、繊細な心の機微に触れたくなる。2024/08/19
Yu。
31
‥痛い思いを幾つもしているにも拘わらず無類の怖いもの好きという著者自ら取材した体験者達のゾッとする話が纏められた怪談集。。特に印象深かったのは、怨むパワーの恐ろしさは大人・子供関係ない、邪童霊のねちっこさがとにかくイヤな「公園の子どもたち」。体験者は多数にのぼるという“3・11”絡みの「ビッタンビッタン」。若くして亡くなった有名女優に纏わる人怖「人形」。の三編。 2020/08/16
バトルランナ-
25
人形が突出して怖い!著者の熱量を感じる!怖い話ってリアリティが高ければ高いほど、パワーがあると思うんですよねー。これは来た!スティーブンキングの初期の作品なみ。2019/04/09
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