内容説明
世界の最先端を牽引する「新しい実在論」のマニフェスト、ついに電子版登場! 1980年ドイツ生まれのマルクス・ガブリエルは、今、最も注目されている哲学者です。その名を一挙に知らしめた『なぜ世界は存在しないのか』は、さまざまな領域に波紋を生み続けています。日本でも多くの読者を獲得している本書とともに、AIの飛躍的進化が象徴する先の読めない状況の中で、改めて「世界」と「人間」について考えてみましょう!
目次
哲学を新たに考える
I これはそもそも何なのか、この世界とは?
II 存在するとはどのようなことか
III なぜ世界は存在しないのか
IV 自然科学の世界像
V 宗教の意味
VI 芸術の意味
VII エンドロール──テレビジョン
訳者あとがき
原註
用語集
作品名索引
人名索引
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Major
79
流石に話題の哲学書と評判になった著作であると思う。魅力的なタイトルを含めて、一口に記述は分かりやすく読者を惹きつける。ただし、あまりに彼の哲学的分析が明晰だからと言って、僕たち読者はタイトルの疑問詞に騙されてはいけないのだろう。例え原題も『Why the World Does Not Exist?』であるにせよ、マルクス・ガブリエルは「なぜ(Why)世界は存在しないのか」を論証したのではなく、「どのようにして「How)世界は存在しないと考えられ得るのか」について丁寧に哲学的分析を行ったのである。2020/06/23
抹茶モナカ
74
哲学の学術書ではないけれど、実在論を哲学する本。平易な文章ながら、サブカルチャーまで取り込み、哲学する。千葉雅也さんの『勉強の哲学』と雰囲気が似ている。読みやすいのだけれど、テレビのドラマを持ち上げ過ぎな、若さ溢れる感じは、好き嫌いがわかれそう。個人的には、このレヴェルまで噛み砕いてもらっても読むのは大変でした。2018/04/14
SOHSA
44
《kindle》マルクス・ガブリエル著作初読み。NHKのテレビ番組で同氏を知り、哲学者ながらその言説のわかりやすさに惹かれ、本書を紐解くに至った。本書のタイトルでもあるなぜ世界は存在しないかという問いは、一面でとても刺激的であり、読み手の目を引きつける。しかし、その言説はあくまで堅固に足下を固めていて、読み手に微塵のゆらぎも感じさせない。ページが進むに連れ、内容は難解に傾くが、最後まで読ませる力強さがある。また、現代の哲学者であることも興味深い。他の著作も読んでみたい。2020/10/28
きいち
43
キャリアや社会人学習を考えるうえで自分がよりどころにしてきたのは社会構築主義だったため、ガブリエルが形而上学を否定する返す刀で構築主義もぶった切ったことに戸惑いを感じたところからスタート。そうか、それでも曖昧な場に耐えるための実在論、ということか。◇世界=意味の場。そのものを意味づける場を含むような場は存在しない。レイヤーが違ったりねじれの位置だったり複数の場を繋ぎ合わせながら意味づけ続けること。AIやビッグデータと付き合ううえで新しい世界を開く考え方なのかも、と感じた。なかなかに魅力的ではなかろうか。2020/04/18
樋口佳之
42
ちゃんと生きる事から逃げたり、諦めたりしちゃいけないし、ちゃんと生きる事は不可能では無いのだよというメッセージを受けとりました。自分のかじった哲学的な術語とかなりの部分で翻訳可能な記述ではないかと受けとめました。一点自分は階層性と見るところを著者はフラットな多様性と見ているのかな。2019/02/28