内容説明
「自己決定権」と「人間の尊厳」がむすびつき、ナチスの発想と同様の「脳死・臓器移植」や「安楽死・尊厳死」が推進されている。そして「人間の尊厳」を標榜する者が想像を絶する事件を引き起こした。マスコミが伝えない事の真相を、豊富な実例を挙げながら、詳細に解説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ロア
21
現代はあらたな「野蛮の時代」だ。 正義だ善意だと皆が声を揃え、生きている患者を脳死と判定して、合法的に死者に仕立てる。美化された脳死・臓器移植医療のストーリーは、その成り立ちのおぞましさを覆い隠して人々をドナーへと駆り立てる。「イキル価値アリ」「イキル価値ナシ」と、次に仕分けられるのは自分かもしれない✳︎✳︎✳︎「自己決定権」を軸に、脳死・臓器移植や尊厳死、相模原障害者殺傷事件まで、生命倫理を深く鋭く真っ直ぐに説く。私が言いたかったこと、知りたかった答えを次々に言語化してくれる。すごい本を読んでしまった。2019/04/20
A
2
現代社会では、一般的に、理性や意識、精神がある「状態」を「人間の尊厳」の根拠とし、その「状態」が揺らぎ消失したら、「人間の尊厳」も消失すると考えられている。そのような社会では、安楽死・尊厳死の対象者や精神・知的障碍者、脳死患者は、「人間の尊厳」が消失したものと見なされ、死に追いやられる。しかし、著者はこのような社会に反対し、「人間の尊厳」の根拠を、理性や意識、精神があるかどうかという「状態」に求めるんではなく、患者がただ「存在」するということだけに求めるべきだと主張する。2021/07/14
若葉
2
自己決定権というイデオロギーに関しての論議は大変素晴らしいが、随所にミソジニーが散りばめられている。「〜ではあるが○○」という、一見理解を示している姿勢をとりつつ内実はしっかりと差別的であるというよくあるレトリックである。ご専門は生命倫理であるようで、よくある話だが専門外にあまり話を広げすぎない方がいい。問題は具体的に論じるべきと言っておきながら、フェミニズムやイデオロギー批判の部分になると途端に議論が抽象化する。理解が中途半端ならば議論を敷衍しない方がいいのではないか。2020/07/21
金平糖
1
C+。2023/07/29
モカちゃん
1
何となく論理に飛躍があるような、また個人的な経験を一般論として語っているような感じがあって良く理解できなかった。が、読み終わる頃には「人間の尊厳」とは何かなど、今まで考えた事がなかった事を考えさせられた。2020/08/06