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内容説明
ワクチンから癌治療まで、私たちは免疫作用を生かした医療に馴染みが深いが、そのしくみについては謎が多かった。それが近年、飛躍的に研究が進み、驚くほど精密でダイナミックな免疫システムのメカニズムが明らかになってきた。免疫細胞は互いにコミュニケーションをとりながら、人体に有害な異物のみを選んで攻撃していたのだ! 免疫学の最新の知見を紹介する、スリリングな一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まーくん
93
やっと始まったワクチン接種を前に読むと一層興味深い。コロナ以前の本であるが18年刊と新しく、専門家の書き下ろしなので、最新の知見が反映されている。一般読者向けでありながら専門用語頻出、かなり難しいが、並行して語られる大発見の経緯や、その研究に人生を捧げた科学者達の物語に惹かれ読み進める。免疫システムは長い進化の歴史の中で創り上げられたもの。「自己と非自己を識別し、病原体を検出し、危険に応答する。全てを同時かつ乱雑に行っている。つまり、いくつもの機構の寄せ集めで一原理で要約できるようなものではない」という。2021/06/14
まると
21
免疫の複雑かつ魅惑的な仕組みを、科学者たちの発見の物語を通して解き明かしてくれる良書です。私たちの体内では日々、あらゆる部位で様々な役割を持った分子や細胞が、病原体を攻撃(または攻撃しないように)して健康を維持しようとしている。そうした「内なる宇宙」の研究の歴史と最先端の治療を知ることができて、勉強になりました。ただ、細かな仕組みとなるとやはり難解で、図解や科学者索引といったものがあれば、もっと理解が進むのにとも感じました(以前読んだ多田富雄さんの「免疫の意味論」では、図や写真が理解を助けてくれました)。2021/05/08
羽
18
「科学全般について、一つだけ覚えてもらいたいことがあるとすれば、単純なものなど何もない」と著者が断言するように、免疫システムも奥が深く、ひとことで説明するのは困難だ。仕組みは複雑だが、気付かないうちに身体の中では病原体vs免疫細胞の闘いが繰り広げられていることがよく分かった。自己免疫疾患の治療やがんの免疫療法は、大勢の科学者の研究が積み重なって新薬開発に結び付いた。人間の身体について知ることは、自分や他人をより理解しようとすることにつながる。ストーリー仕立てで学べる免疫学。良書。2020/01/24
seki
16
免疫力について、その研究の歴史から、最新事情まで難し過ぎず、簡単過ぎず伝えてくれるちょうどいい本。専門用語までは覚えられなかったが、免疫細胞の周りには、免疫反応を促進するものもあれば、自己免疫疾患から守るため、反応を抑制するものもあるという。しかし、免疫反応は複雑で、まだまだ解明されていないことが多いとか。免疫細胞の種類も様々で、反応する病原体もそれぞれ。ちょっとしたことで、逆の反応を示すことあるようだ。道のりはまだまだだが、がんの治療法として、期待したい分野である。2022/06/18
赤い熊熊
14
免疫の働き方がその発見の歴史とともに書かれています。発見に携わった研究者が次々と登場するので、誰が何をしてるのか入り組んで分かりにくい部分もあるけれど、人物名にあまりこだわらなければけっして読みにくくはありません。免疫のしくみを概観するのには面白い本でした。2019/04/17