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内容説明
日本の政治を揺るがし、今なお決着がつかないスキャンダルの多くが情報公開に関係している。森友問題しかり、PKO日報問題しかり。いずれも情報公開請求が引き金となって問題化した。特定秘密保護法案、集団的自衛権をめぐる憲法解釈変更、石原都知事(当時)の乱費問題などを、情報公開制度を活用して報じた毎日新聞記者がその舞台裏を明かし、誰もがこの制度を使えるよう、ノウハウを伝授する!
目次
第1章 石原都知事を追及する
第2章 特定秘密保護法案の裏側──情報公開で「秘密」に対抗する
第3章 憲法解釈変更の「検討記録なし」をあばく──安保関連法案と内閣法制局
第4章 個人情報の使われ方と使い方
第5章 情報公開制度とは?
資編 調査に使える公開情報
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ああああ
4
情報公開に関するハウツーだけではなく(というよりも、意外に簡単に出来るんだなと思った)、その情報を活用し、記事にしていったプロセスも書かれていて非常に良かった。英国の事例なども交えており、比較の観点からも面白い。「今ある権利を日常的に使って「公開が前提。秘密は例外」という風土を育てることではないだろうか。」(P.101)という主張は、民主主義を育てていく方法として、至極真っ当でクリティカルなものだと思う。研究のデータ収集方法の一つとしても有用であろう。良書だと思う。2020/07/02
Hiroki Nishizumi
3
ジャーナリストとしてあるべき姿だろうな。2019/01/21
Yuki_N
2
情報公開法や公開された情報を用いた筆者の取材に関する個人的なエピソードが中心。日本のマスメディアが警察など政府機関の人との個人的な関係を重視した情報の入手をし続けていることの問題点を終章で指摘している。インターネットの時代にこのような形の事件報道などが必要かなども含め、マスメディアの在り方が議論されることが望ましい。2018/12/01
na2hiro
1
最近Twitterなどで話題の情報開示について知るために。筆者が記者として取材対象者周辺の人脈のない状態から取材対象に阿らずにジャーナリズムをしていくツールとして役立てた実例が描かれている。日本での経験の後にイギリスの情報公開の前線を見てきており、日本の制度が「公的機関が情報を出してあげる」という運用になっていてまだまだ不十分であることを指摘している。「行政等公的機関がうまく機能しているかどうかを国民が判断するために必要な知る権利を担保するため」であるべきという。※意外と原則公開になっている文書も多い2020/08/23
yurara
1
情報公開請求が権力・政治家のあり方をあぶり出す力に驚いた。イギリスでは保守系大衆紙もリベラル系高級紙も含めて情報公開請求に基づく記事が日本の5倍!番記者のような従来型の取材に比べ、情報公開を元にしたものはバイアスがかかりにくく、公正な視点を保ちやすいという指摘に目から鱗。イギリスでは開示情報のオンラインでの共有、独立性を保った政府に対する監視機関も存在するとのこと。ここ数年政治家や官僚による文書の改ざん、隠蔽、廃棄が顕在化している。情報公開請求はこれに立ち向かうのに有効な手段であると強く感じた。2020/06/28