内容説明
左大臣の姫が、何者かによって腹を食い破られ、路傍でこと切れていた。異様な死に様を見た左大臣は、犯過人の首に千貫文の値をつける。荒れる都のただ中で、散楽舞の青年・小槌丸は、ある企みを抱えていた。それは生き別れの兄であり、右大臣の息子である月夜彦を暗殺し、入れ替わること――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yamatoshiuruhashi
44
平安時代の京、近江を舞台にした不思議話と推理小説の合体作品。呪い呪われ、権力を求める恐ろしさ。そして今の感覚から見れば何とも乱れた倫理観。二転三転する中に張り巡らされた伏線も見事に回収される。「芳一」の読後感と違い作者は手練れだと感服した。京の姫が次々に殺され遺体が喰われる事件と禍神の関わり、娘を権力獲得の道具にする貴族たちと当の姫君、地下人たちの生き方などが絡み合いつつ収斂していく筋運びに一気読み。暗い流れも終章で何か晴れ間が見えたようだった。2021/08/14
mokona
21
ほんわかした作品を書かれる方というイメージを持っていたのですが、いい意味で期待を裏切られました。登場人物それぞれに思惑があり、裏切り、騙し合う。禍神・狼神の不気味さ、人の欲の深さをまざまざと見せつけられた感じです。『月夜彦』憐れな人でした。2019/05/18
あんコ
6
★★☆☆☆(-ω-;)ウーン、一気に読んじゃえば面白かったかもしれないけどチビチビと読んだせいか、ふ~んって感じで読了。薄暗い感じで話が進むが平安時代のホラーは思ったほど怖くはなく、でも真相を知る過程はそれなりに面白い。貧乏暮らしの散楽舞いの小槌丸は自分が右大臣の落胤であると知りその時から自分とそっくりの腹違いの兄・月夜彦と 入れ替わろうと企んでいた………。御見越山の狼神は願いを叶える代わりに大切なものを奪う神様。本当に恐ろしいのは洗脳された無垢なる願いヒィィィィィ(゚ロ゚;ノ)ノ 大切なモノとは?2020/03/31
蕭白
5
思っていたより重いお話でした。2023/01/10
Yuri
5
多分、表紙絵作家さんが好きで入手しています。 後半2転3転して面白かった。 この作家さんの他の作品も読んでみたいです。2019/12/27