内容説明
編集者須賀は作家と渋谷で打ち合わせ中、スクランブル交差点で女の子を襲うゾンビを目撃。各地で変質暴動者=ゾンビの出現が相次ぐ中、火葬されたはずの文豪たちまで甦り始め…。デビュー10年目の極貧作家K、久しぶりに小説を発表した美人作家桃咲カヲル、家族で北へ逃げる小説家志望の南雲晶、区の福祉事務所でゾンビ対策に追われるケースワーカー新垣、ゾンビに噛まれてしまった女子高生青崎希。この世界で生き残るのは誰か?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おかむー
64
ゾンビというエンタメを纏った文学なのか、文学業界と忖度社会を風刺したゾンビ小説なのか、訴えてくるものは理解できるが答えを出しづらいという意味ではモヤモヤが残る。『よくできました』。ゾンビが実在し始めた社会で文学業界に携わるひとびとの群像劇という関連性のわかりづらい前半は先が読めずページが進みづらいが、タイトルが意味を持つ後半では楽しめる。とはいえ今現在の社会で氾濫する情報に流されず“あたりまえ”を無視して生きられる人間がどれほどいることか。自己啓発本に倣うかや独自の生き方を検索するのが関の山ではないのか。2018/12/09
TSUBASA
34
渋谷のど真ん中に現れた若者のゾンビから始まるパンデミック。売れなくなった作家、自分勝手な区民を相手にする役所の職員、我を通していじめを受けている女子高生たちが、ゾンビたちから逃れようとする。ゾンビ小説の体をした風刺小説。言ってしまえばゾンビは文脈に支配された人々。声のでかい人に流されればゾンビになる。仲間はずれを恐れればゾンビになる。思考停止した人は皆ゾンビ。事実今の社会もゾンビが蔓延しているのかもしれない。でも実際のところの自分の意思とかオリジナリティって?あなたは、私は、ちゃんと生きているのだろうか?2018/12/04
たぬ
32
☆4.5 私の中でどうにもゾンビってコミック要員なのよね。深刻なシーンでもゾンビってだけでお祭り感がぬぐえないというか。「スリラー」のPVくらいでしかゾンビに触れてないせいかもしれないけど。んでゾンビ。そして文脈。この2つがどう絡むのか、543頁をどうまとめるのか期待しつつ読んだ。結果はこの点数です。今更ながら羽田圭介ってすごく好きな作家だ。言葉のチョイスや間合いが肌に合ってる。2022/01/06
活字スキー
26
羽田圭介さん初読み。何にでも『~オブ・ザ・デッド』つけりゃいいってものではないが、このタイトルは良い。しかし帯にある「ゾンビ・エンタテインメント」という惹句はいただけない。本作はいわゆる「ゾンビもの」のお約束がふんだんに盛り込まれてはいるものの、グダグダとっちらかった冗長な展開はエンタメとしては正直かなり厳しい。それでも一応パンデミックものではあるし、「ゾンビ化」の解釈(対象)には捻りがきいてる。筒井御大、神林御大、そしてヤスミンあたりを好むなら楽しめるだろう……かゆ……うま 2020/03/30
かば
24
作中でボコボコに貶し倒される数多の登場人物たちは恐らく作者の嫌いな奴らをそっくりそのまま投影させた存在なのであろう。ゾンビパニックというフィクショナルな文脈の中で現実の鬱憤を爽快に晴らそうとする作者の気概に感服。虚構は現実への反抗手段であると改めて実感する。2018/11/28
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