内容説明
戦前から続く紡績会社。次期社長の呼び声が高い専務・恩地は検査入院中に社長らが仕組んだ緊急重役会によって平取締役に降格される。社長の椅子へ執念を燃やす恩地がはまった、さらなる組織の罠とは――(表題作)。
高度成長期を舞台にしながら、現在に通じる日本の組織人の欲望を描いた傑作企業小説集を復刊。
【目次】
緊急重役会
ある倒産
形式の中の男
前々夜祭
解説・楠木建(一橋大学教授)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Syo
31
ちょいと重い話…。 これも人生か2022/02/13
こすも
15
初出から50年前後経った短編集の再発売。舞台は昭和の高度成長期。会社を引っ張る役員は戦争経験者、60代後半で同窓生の6割が鬼籍に入る。現代から見るとすっかり歴史教科書の中の出来事のように感じます。なのに、いまだに僕の属する世界は、この作品と同じようにリーダーが三角形の位置エネルギー型なんだよなあ。2018/12/29
takam
14
あとがきの楠木さんのコメントに集約されている通り、ここで描かれるのは昭和のサラリーマンの出世競争と男のプライドと嫉妬の物語である。城山三郎氏はノンフィクションでは無私の人物を描くことが上手だと思っていたが、昭和の社内抗争のようなものをフィクションで書く印象を持っていなかっただけに意外だった。昭和的なサラリーマンは女性をパトロンとして囲ったり、部下に嫌味を言ったり、嫉妬で会社を勝手に身売りしたりということに共感を得たのだろうか。それで共感を持ったのは高度成長期は安定したということなのだろうと思った。2020/02/16
米菓
7
短編ビジネス小説集。 書かれた時期が昭和37〜41年なので時代を感じる。2020/04/21
ミガーいち
6
昔から、仕事は大変。星32019/01/08