内容説明
イギリスは貿易と戦争、そして「掠奪」で世界の海を制したのだった! 最強の海洋帝国と荒くれ者たちが動かした歴史を描く驚異的論考! 注目の若手研究者が、大きな歴史のうねりと、海の男たちの苦闘とを多層的に、鮮やかに描き出す。大海原の波濤の向こうに、誰も知らない世界史があった!
目次
海洋と掠奪
掠奪者たち、大西洋に乗り出す
同期する掠奪
グローバル化する掠奪
海賊たちの黄昏
私掠者と掠奪
海軍と掠奪
自由貿易思想の興隆と私掠の廃止
第一次世界大戦の勃発とパリ宣言体制の崩壊
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゲオルギオ・ハーン
25
中世以降の欧州(特にイギリス)の海賊について解説した一冊。中世以降の欧州での海における掠奪行為は軍事作戦の一つであり、そのため欧州の海賊は海軍から分岐して生まれた存在ともいえる(彼らが戦争後の軍縮期のリストラで規模を増大させたこともそれを裏付けているし、彼らが襲えるのは敵対国だけだった)。制度が整わず、国も対応を本格化させていない時は海賊たちは好き勝手に掠奪行為を行い、富を増やした。しかし、外交問題に発展するような掠奪が目立ってくると国は規制を強めていき、掠奪行為は手続きが必要な登録制となる。2022/08/05
サアベドラ
22
近世~近代にかけて洋上で非合法的・合法的に行われた掠奪行為とその法的位置づけの変遷を、主にイギリスの視点からたどる。著者は海賊や私掠船を専門とする若手研究者。2018年刊。非合法的掠奪というのは要するにヒャッハーな連中による海賊行為のことで、合法的というのは戦時における私掠船や海軍による敵国民間船の拿捕を指す。ヨーロッパ人の海洋進出に伴い活発化した海賊行為は18世紀に鎮圧され、合法的掠奪は19世紀に非合法化されたが、後者はWWIのUボート作戦で一時復活。興味深い内容だが、タイトルと中身が少しズレている。2019/01/20
skunk_c
22
16世紀後半のエリザベス女王時代のイギリスは「海賊国家」と称せられることも多く、実際女王自らそうした船に投資していたことが知られているが、本書では海賊行為で括られやすい海上での掠奪を、その軍事(暴力)的側面と獲得(経済)的側面から眺め、海賊、私掠、拿捕といった概念に区分しつつ、20世紀に至る歴史を丁寧に記述している。そこには植民地獲得や戦争の経済的側面、重商主義と自由経済の確執、イギリス海軍軍人にとっての拿捕獲得物の経済的意味、そして対応した国際法を巡る各国の駆け引きなど、生の歴史が満載、面白く読んだ。2018/12/25
穀雨
6
研究者らしい質実剛健な内容だが、所々に紹介されている略奪行のケース事例はどれも波乱万丈で、とても面白かった。海上を無法者が跳梁跋扈していた中世から、近世を経て、国家権力の強化・整備とともに海賊行為が沈静化していく過程がわかりやすく描かれていた。2020/03/14
MUNEKAZ
6
中世末からWWⅠまでのイギリスが行った海での掠奪行為を描いた一冊。「海賊」以外にも「私掠者」「海軍」も扱っているのが特徴で、エリザベス女王時代の3者が混然となった状態から、近世にかけての重商主義の風潮で「海賊」が非合法化され、さらに近代以降は自由貿易主義の考えから私掠船や海軍の行う合法的な掠奪も忌避されていく流れは興味深い。またこうした掠奪とWWⅠ以降の通商破壊の違いとして、掠奪者の利益確保が無くなり、加害性のみが残ったとするのも成る程と思った。いくつか紹介される歴代の掠奪者たちのプロフィールも面白い。2018/12/13
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