内容説明
終戦70年、いま読むべき本No.1!! 「外交の最前線で戦い続ける姿に、涙が止まらなかった」前中国大使・丹羽宇一郎氏(解説より) 31年、駐華公使・重光葵は上海でテロに遭い、右脚を失う。そこからの彼の人生は、目前に立ちはだかる“階段”を昇り続けるものだった。外交の第一線に復帰し、孤立する日本を救うため日中戦争を終結させようとするも、戦局は悪化。敗戦直後、再び外務大臣になると、日本史上、最も不名誉な“仕事”である降伏文書への調印を引き受け、マッカーサーとの交渉に挑むのだった――。昭和の外交官・重光葵の知られざる生涯に光を当てた長編小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
誰かのプリン
18
戦前はアメリカとの戦争回避に尽力し、戦後は国際連合加盟につくした外交官 重光葵の生涯が描かれている。 特に印象に残ったのは、誰もが嫌がるポツダム宣言の調印を、日本の将来のためを想い進んで実行したところです。 植松作品は大変読み易く面白いです。一気読みでした。 2017/05/28
Totchang
16
高校で受けた日本史の授業では第二次世界大戦以降はあまり時間を割いていなかったように思います。ですから厳しい外交の世界で活躍した重光葵のことは本書を手に取るまで知りませんでした。本当の歴史を直視することによって、明日の進み方を考えなければならないのに残念なことです。時間の制約を考えればやむを得ないのかもしれませんが。それにしても植松三十里氏の筆力には圧倒されます。降伏文書への調印でのマッカーサーとの交渉には身の震える思いを致しました。2020/08/25
100
11
通信技術の未発達や、それによる情報伝達のタイムラグ、立場立場の思想、各個人ね思惑が絡まり戦争が始まり、終わる様が描かれている。興味深いのは松岡洋右の描かれ方。落日燃ゆやこの時代を描いた作品が好きな方は楽しめると思います。2019/10/19
ゆうぴょん
5
正直、この方のことを知りませんでした。明治生まれの日本人は本当に肝が座っていたんだなぁと思う。外交官として輝かしいキャリアを築いていた時にテロで右足をなくし、リハビリに励んでいたこともすごいが、そんな中で外交官として、政治家としてなんとか戦争を終わらせようと奮闘する姿がすごい。松岡洋右や東条英機も登場するが、人物像の思い込みが変わる。敗戦後のミーズリ艦での調印だけではなく外交官として日本を守ろうとした重光葵の生涯。一気に読んでしまった。2021/10/16
さなぎ
4
少し、英雄化し過ぎな感もあるけど、日本にこんな素晴らしい外交官がいたのかと感心しました。あまり歴史のことをよく知らなくても、教科書に出てくる松岡洋右や東條英機、近衛文麿など非常に、魅力的に書かれていて、軍事面でなく外交面からの歴史が勉強になりました。今度は実際の重光葵の著書を読んでみようと思います。なぜ戦争が起きたかを知らずして、平和を考えることはできないので。そして、植松三十里さん、とても読みやすく、人物も魅力的に描かれていてファンになりました!2022/02/09