海外文学セレクション<br> ヨーゼフ・メンゲレの逃亡

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海外文学セレクション
ヨーゼフ・メンゲレの逃亡

  • ISBN:9784488016661

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内容説明

ヨーゼフ・メンゲレ、アウシュヴィッツ絶滅収容所に移送され、降車場に降ろされたユダヤ人を、強制労働へ、ガス室へと選別したナチスの医師。優生学に取り憑かれた彼は、とりわけ双子の研究に熱中し、想像を絶する実験を重ねた。1945年のアウシュヴィッツ解放時に研究資料を持って逃亡。その後、49年にアルゼンチンに渡った彼は、79年にブラジルの海岸で死亡するまで南米に潜み、捕まることも、裁かれることもなく様々な偽名のもと、生き続けたのだった。そして、その死が遺骨のDNA鑑定によって確認されたのは90年代になってからのことだ。なぜメンゲレは生き延びることができたのか? 彼は、どのような逃亡生活を送ったのか? 謎に満ちた後半生の真実と、人間の本質に、ジャーナリスティックな手法と硬質な筆致で迫った傑作小説。ルノードー賞受賞作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

146
ノンフィクションの名付け親はカポーティ。これはヨーゼフ・メンゲレについての「冷血」 膨大な資料を集めた上で書かれた小説。アウシュヴィッツへ移送されたユダヤの人々の選別を行い、優性遺伝の研究と称して恐るべき実験を行った男は南米に逃げた。彼を匿う、ナチスを信奉し続ける者はいつもいた。南米に逃げた高官探しが本格化したのは戦後10年してから。戦後ドイツの混乱は大きかったのだろう。彼らを探すイスラエル高官の公私混同にも呆れる。ラストの言葉を胸に「夜の夢幻がどうか私達から遠くにとどまっていてくれますように」2019/01/30

ケンイチミズバ

116
ナチの亡霊どもがいつ狩られるのかとびくびくしながら逃げ回る。往生際の悪さに嫌悪しかない。南米軍事政権は彼らの能力を求め市民権を与え捜査協力もない。諜報組織の構築、原発と言いながらの核開発、共産ゲリラへの対抗、非合法な人権蹂躙の術を彼らから学ぶ。狩る方も他国の主権を侵害し誘拐、ボンではなくエルサレムに連行し復讐か暗殺。ソ連の覇権拡大でもはや戦犯の訴追でころでなくなったアメリカ、中東紛争で同じくメンゲレどころではなくなるイスラエル、最後の最後まで反省はない、踏みにじられた無辜の人々の魂の救済が遅すぎる。酷い。2019/08/15

藤月はな(灯れ松明の火)

113
作者がフリッツ・バウアーを主人公にした『アイヒマンを追え!』の脚本家で、翻訳家が『Hhhh、プラハ』の人という強力タッグです。良心の呵責もなく、周囲を馬鹿にし、なんとか生きながらえている現状にも不満ばかり。こんなよくいそうな、下らないおっさんが目を背けたくなる所業を仕出かし、逃げ切った不条理。メンゲレとイリーナが愛し合う描写に挟み込まれるガス室で殺されるユダヤ人達、ゾンダー・コマンダーが語ったメンゲレの所業とポーランド人が何を食べたか、知った時の描写に気分が重くなる。そしてラストの警告は他人事ではないのも2019/01/17

harass

92
ナチ著名人のメンゲレ博士のノンフィクション小説。アウシュビッツで多数の人体実験や選別を行っていた彼は、戦後南米に逃亡する。元ナチ関係者が多数潜伏し親ナチ政権のアルゼンチンなどで新たな人生を生きようとするが、ナチスの犯罪が世間に知られ、イスラエルの情報部などのナチ狩りがアイヒマンなどを捉え、メンゲレはさらに逃亡を繰り返す。神話的なダークヒーロー的な評判と、彼の実像の孤独な生活が対比される。キビキビとした書き方で非常に読みやすく感じた。アイヒマンの逮捕とその後は有名だが、この博士の最後は初耳だった。良書。2018/12/03

ペグ

85
愚かで唾棄すべき人間。欺瞞、自己弁護、凝り固まった主義、主張。アウシュビッツでの身の毛もよだつ実験。他人を信ずることが出来ず何頭もの犬たちを周りにおき、果てる。 プライドだけが生きがい。そんなメンゲレの金を利用する周りの人間たちにも吐き気をもよおす。ヒトラー〜ナチスという土台がなければ違った人生があったのだろうか?息子、ロルフに救いを見た。久しぶりのノンフィクション小説。一気読みだった。2019/07/09

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