内容説明
放課後の理科室で、5人の高校生がルール違反の罰として教師に作文を書かされていた。そのなかの1人、サイモンが突然苦しみだし、病院搬送後に死亡してしまう。死因はアレルギーのアナフィラキシーショックで、警察は事件性があると判断した。サイモンは生徒たちのゴシップを暴露するアプリを運営しており、現場にいた4人の生徒は全員が彼のアレルギーを知っていたうえ、さまざまな秘密を握られていたのだった。4人は一人称で、順繰りに事件について語っていく。いったい、誰が何を隠しているのか。巧みな構成が光る必読の謎解きミステリ!/解説=若林踏
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
🐾Yoko Omoto🐾
158
学内で悪趣味なゴシップアプリを運営していたサイモンが急死し、その場に居合わせた四人に殺人の疑いが。進路、恋愛、友人、家族問題。事件を機に彼らがそれぞれに抱えてきた秘密は露見し、何より怖れていた他人からの嫌悪や嘲笑、失望に晒される日々を迎えることになる。思春期の心の揺れや傷、満たされぬ承認欲求や虚栄心に嫉妬心など、決して単純では無い事件の背景と心情が丹念に描かれ、成長譚としての面白さにも富む。全てが明るみになっても失われなかったものこそ、その人の人生にとって真に大切で必要なもの、そんな気付きをもたらす良作。2018/09/25
Panzer Leader
86
ゴシップサイトの運営者だった生徒が教室で倒れて死亡する。同席していた他の4人の生徒に疑いの目が向けられ、物語はこの4人の視点から進んでいく。一体嘘をついているのは誰なんだろうと読み進めるが、事件を通して傷つきながらも人間的に成長していくこの4人がまたいい子たちなんだわ。誰もが犯人であって欲しくないなあと思いながらも辿り着く真相や如何に...爽やかなラストが心地よい青春小説風ミステリー。2020/01/17
seacalf
75
正統派ミステリだけを期待すると肩透かしをくらうが、この作品はstampbooksで出すべき極上のYA小説。優等生の可愛い子ちゃんに不良のイケメン、前途有望なスポーツマンにカースト上位のキュートガール、そしてSNSを駆使して学校内に君臨しようとするひねくれ男子。序盤では絵に描いたような典型的なキャラでしかなかった彼らの印象が、読み進めるにつれてがらりと変わって好ましくなっていく様が物凄く上手くて物語に没頭できる。この魔法じみた手腕は次回作にも期待。関係ないけどネイトの言動を読んでるとディランを思い出すよな。2019/04/29
あさうみ
63
…っ、最高か!!ただのミステリーの枠に留まるものではなかった!!舞台が学校で、大人と子供の間の思春期の学生。誰しもが踏む成長段階の思春期の嫌らしい部分と微笑ましい部分を見事に書ききってる。事件を通して、自己を見つめ、何が大切かを見極め、一歩踏み出す青春小説でもある。ミステリー読まない方にもおすすめしたい一冊。お気に入りです!!2018/10/21
Collina
55
現場に居合わせた4人の学生の一人称で順繰りに語られて真相に迫っていくのですが、徐々に嘘や隠し事が開示されていく様が最高。それに伴い4人の学生が傷ついたり、また成長していく様が最高。シビれるシーンやパンチラインも多く、ただただ最高の一冊でした。2019/02/24