内容説明
現在薬物依存症の患者は全国に10万人と言われ,覚せい剤事犯者の再犯率は6割を超える。このように近年深刻な社会問題となっている「薬物依存症」であるが,わが国においては一部の特定施設を除き,標準化された治療システムが見当たらず「無医村」的状況が続いている。
本書は,「ようこそ外来」や「ごほうび療法」を実践する著者が,20年以上にわたる依存症臨床の経験から,患者や家族と向き合い,個別や集団での治療プログラムを使い,依存症者との信頼関係を構築することで依存症からの回復を目指すための指針を公開したものである。
当事者とその家族をはじめ,医療・福祉・行政・司法・教育など薬物依存症に携わるすべての人々に。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Asakura Arata
2
埼玉で2年間お世話になった師匠の本。同じ職場では、6年間ご一緒させて頂いていたが、その間師匠が怒っているところをついぞ見たことがなかった。いつも穏やかで温和な方であった。師匠の人柄がよく出ている本だと思う。また、臨床がとても好きな先生で、会議をぶっちぎってニコニコしながら外来をいつまでもやっていた。今はどうなのか知らんが、依存症がワインの次に好きな師匠であった。2017/04/29
Yasutaka Nishimoto
1
薬物依存症治療の仲間に入らないかと著者は言う。国を挙げての支援も期待したいが、歴史的にまだまだ難しいのだろう。忌避感や陰性感情を持たずに接することが、自分にはできるだろうか?2017/07/10