内容説明
2012年のCRISPR-Cas9の開発によって、ゲノム編集はすべての研究者の技術となり、基礎から応用の幅広い分野における研究が競って進められている。
本書は、ライフサイエンスの研究に興味をもつ学生をおもな対象に、ゲノム編集はどのような技術であるのか、その基本原理や改変方法について、できるだけ予備知識がなくとも理解できるように解説した。さらに、農林学・水産学・畜産学や医学など、さまざまな応用分野におけるこの技術の実例や可能性についても記載した。
2016年末に刊行した『ゲノム編集入門』(ISBN 978-4-7853-5866-2、裳華房)より全体的に難度を低くし、より多くの読者に興味をもってもらえるように配慮したつもりであるので、若い研究者がこの本によって、ゲノム編集技術を積極的に取り入れ、さまざまな分野で基礎研究と応用研究を意欲的に進めていくことの一助となれば幸いである。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Teo
3
流石にこれは現役でこの分野に向かっている学生ないしは院生以上ではないと辛い内容だった。何しろ現物を見てないから。それでもまあそうやって切断するんだ、そう言う工夫をしているんだ程度には分かった。細胞の中に入れるのをどうしてるのかと思ったが、電気穿孔法があるんだな。2020/07/24
やす
2
生物系の研究者もしくは学生に向けてゲノム編集の仕組みを解説した一冊。薄い本だが内容は充実していて読みごたえがあった。CRISPRが注目されているが、TARENなどもまだまだ使い道があることが分かった。2018/11/15
Shotaro
1
ゲノム編集といえばクリスパーキャス9システムの登場で脚光を浴びたが、クリキャス以前の技術や最新の応用技術を含めてゲノム編集の世界を学ぶことができる。原理に関してかなり詳しいところまで立ち入るが図解が多いので理解しやすい。2019/04/30
S.J.
0
ライフサイエンスの世界では、恐らく21世紀で最も重要な新技術の一つとなるであろうゲノム編集。世間一般的にはまだあまり知られていないか、耳にしていてもその重要性までは実感されていないようだが、医療、食糧、環境などの分野において凄まじいインパクトを与えつつある。この重要な領域においても、日本は米・欧・中の後塵を拝しているようだ。本書は小冊子ながら現時点での開発状況を俯瞰できる入門的総説である。しかし序文に記された執筆者の意図とは裏腹に、遺伝子工学についてある程度専門的な知識がないと難し過ぎるかもしれない。2018/07/29