角川文庫<br> 道草

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角川文庫
道草

  • 著者名:夏目漱石【著者】
  • 価格 ¥484(本体¥440)
  • KADOKAWA(2018/10発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
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  • ISBN:9784041075883

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内容説明

留学帰りの健三は仕事に忙殺され、妻子を思いやる余裕もなく日々を過ごしていた。
ある日、彼のもとへ絶縁したはずの養父・島田が金の無心にやって来る。かつての恩義や見栄のため、頼みを断れない彼に嫌気がさす身重の妻。
しかし意固地な二人は話し合うこともせず、すれ違う。
腹違いの姉からも経済的支援をせがまれ、健三の苦悩は深まる。そんな中、妻は出産を迎えるが……。
分かり合いたい、分かってもらいたい、けれども分かり合えない二人。

互いへの理解を諦めきれない夫婦の姿を克明に描く、漱石後期の名作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

優希

47
漱石自身の半生を描いた自伝的小説になります。いかにして明治時代というエゴイズムの時代を生き抜いたかが理解できました。当時の日記を覗いている気分になるからでしょうね。代わり映えしない日々を鮮やかな筆で記録している名作と言えると思います。2024/01/14

レモングラス

21
漱石が自分と妻のこと、家族、親類、相手の立場にも立ちつつ静かに回想しているが、金銭的に健三(漱石)に不利益をもたらす人たちに、読んでいて気持ちが重くなり、則天去私の心境にはとてもなれない。読むのをやめようかと何度も思ったが、養父に嫌悪感を持ちつつも子どものころに、何でも買ってくれたり我儘をさせてももらったことを忘れられずにいる健一が切なくて読んでしまう。冒頭の帽子を被らない思いがけない男に同じ時刻に何回か出会うシーンの不気味さは圧巻。解説丸谷才一、荒正人、安倍能成、文献抄は好きで何度か読み返した。2020/04/26

いもだ

9
明治時代の、30代の社会人の日常を描いた小説です。 一般の男性の日記のようなものです。妻への不満と、金を借りに来る親戚にたかられて不満の続く描写が続きます。100年前も現代と同じようかことで悩んでいた事がわかります。代わり映えしない日常と、その日常で起こる些細な揉め事。これを鮮やかな日本語で表現している不思議な小説です。ドラマ性が少ないので、冗長に感じました。でも私はこれまで漱石先生の小説を最後まで読めたことはありませんでした。今回始めて読了できたので満足感はあります。 2023/12/09

のほほん

8
「女のくせに」「いくら女だって」とお互いに心で思いながらも、健三さんとお住さんは3人目の子供が産まれる日が近づく日々を過ごしています。そんなある日健三さんの前に昔あまりのひどい仕打ちに絶縁した男が現れます。会わない方がよいと言う忠告をききません。そして、会うたびに苦い思い出がよみがえります。やはり最後にひどい要求が出てきます。やっと片が付いてひと安心するお住さんに健三さんは言います。「お前は形式張った女だ。世の中に片付くなんてものは殆んどありゃしない」と。私も「君子は危きに近寄らず」だと思うのですが。2022/08/01

田中

7
主人公健三は、イギリス帰りでプライドは高いが金がない。みんなが金をせびりに来るのでイライラして身重の妻に当たり散らし、全てやらせ、自分はひたすら何もしないし何もできない、やる気もなし感が好きだ。明治40年代から金金金の価値観。倦怠夫婦の痴話喧嘩が永遠続いて、知らんがな、としか言いようがない。2024/03/22

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