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内容説明
17世紀オランダで活躍したフェルメール。宗教画や神話画から転向し、勃興したばかりの市民階級が求める風俗画の制作へと乗り出した画家は、《牛乳を注ぐ女》《真珠の耳飾りの少女》といった名作を手がけていく。現実のようでいて現実でない魔術的な光と空間の描写は、いかにして生まれたのか。全作品をカラーで収録し、その真筆性をめぐる議論とともに、様式論を一冊に凝縮。政治や絵画市場などの背景に迫る補論を付した増補版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
rico
30
先日行ったフェルメール展の余韻にひたりつつ。ムック的な解説本は何冊か読んだが、本格的な評論は初めてかもしれない。歴史的背景や画家の暮らしを押さえた上で、テーマや構図、筆遣いなど「絵画」を構成する要素を丁寧に分析し、その意味するところを論じる。そして光!口絵におさめられた全作品を見返しつつ、くっきり輪郭を形づくっていたものが、次第に包み込むように柔らかくなり、やがて輝きを失っていくことを実感する。わかったつもりでいたけど、何も見てはいなかったんだなあ・・・。気合入れて、もう1回行くしかない。2018/11/09
zoe
28
うんちくは嫌いだけれど、お酒、クラシック、絵画、何でもそうですが、それなりに背景を知らないと楽しめない瞬間って時があります。多分、展覧会をやっている今は、そんな時。先日読んだ本からフェルメール本、2冊目。最近の科学技術の進歩に伴い、非破壊分析と破壊分析の組み合わせで、今後も、色々と新たな知見も出てくるんだろうと思います。写真もない時代、見る人に違和感を持たせないような工夫・トリック・技法?を使っているのだということがよく理解できました。2018/11/18
こみゅあ
16
大好きなフェルメール。先月末 フェルメール展に行ってきました。そして しっかり浸ってきました。“光” “空間” “ブルー” 本当に素敵でした。写真集で見るのとは大違い、やはり直接の衝撃は凄い…2018/11/21
Roy。
8
【フェルメールをよむ】 フェルメールの生涯、風俗画家へのきっかけ、フェルメールが使った技法が簡潔にまとめられている。 口絵としてカラーで35作品が載っているのも良い。 各絵に関する考察もするどく、全部いっぺんに観られたらどんなに幸せなんだろうと思いを馳せた。2020/09/11
ひでお
5
近年では来日する作品が増えてきたフェルメール。そんなフェルメールを全作品のカラー図版付きで構図の観点から解説する本です。展覧会がらみの本だと、作品べた褒めのものも多い中、著者は専門家の目で冷静に分析します。これまで疑問に思っていたことも、なるほどと納得できるできるところがありました。作品を書かれた年代順に並べることにより、その構図の変化がよくわかりました。いつの日かデルフトの街にいってみたいなあと思います。2019/11/14