内容説明
指1本で大男を吹き飛ばす合気を極めた男・佐川幸義。
「大東流合気柔術」を実際に体験した著者が名人の生涯と合気の秘密に迫る。
わずかに身体を動かすだけで、つかみかかる猛者たちを宙に吹き飛ばす「大東流合気柔術」。
その創始者である武田惣角から直伝を受け、さらに高みを目指した伝説的師範・佐川幸義。
彼の魔法のような強さはどこから来たのか?
1998年に95歳で亡くなるまで、10年にわたって師事した著者が、高弟たちの証言をもとに描いた本格評伝。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤瀬こうたろー
16
大東流合気柔術の達人、佐川幸義氏の孤高の天才ぶりを描いた作品。合気道は、タイミングと呼吸で相手を投げたり、崩したりというイメージだけど、佐川氏曰く、「合気」とは、力ではなく体の作用で相手を無力化すること。それが「体の合気」というもので、この極意をマスターすれば相手を自由自在に操り、しまいには掴んだ手が離れなくなる。そして、これは言葉で教えることができる類のものではないとのこと。結局、「合気を修得した。」と言わせる弟子は一人も出ないまま、佐川氏は死去。自得せよというのはわかるけどもったいない気がしました。2020/04/26
AICHAN
8
大東流合気柔術の故佐川幸義氏の凄まじい技の冴えが描かれている。大東流合気柔術の「合気」は合気道の「合気」とは別物だと佐川氏は言ったという。簡単に言うと相手を無力化するのが「合気」だということらしいが、ではどうすればいいのか、どうするとそうなるのかは自得するしかなく、口では説明できないものらしい。私は合気道を習っているが、いつも「これが合気なのだろうか?」「これで合気と言えるのか?」と疑問を持ち、その度に思うのは大東流合気柔術のことだ。2013/03/21
雪待
2
お世話になっている方から譲り受けた一冊。漫画『拳児』や武術雑誌『秘伝』を読んでいる人にはお馴染みの人物、佐川幸義。知らなかった人となりが覗けて満足。又、想像もつかなかった「透明な力」が漠然としたイメージではあるが、理解出来るような、出来ないような・・・そんな気にさせられた。他、塩田剛三についての言及を期待したが、ついに語られず。彼の存在はどういう認識なんだろう。一度、体験してみるかな。2014/05/12
まさみつ
1
流派を問わず合気をやってる者なら一度は名を聞いたことがある達人、大東流宗範の佐川幸義氏。彼の生涯を門人でもある津本氏が描いています。興味深いのは二つ。まず武には神の如き佐川氏がご家族については不幸であったこと。『神与えたまい、神奪いたもう』という言葉を痛感します。逆に、だからこそ天才たりえたのか。そして終章に至り高弟の中から遂に佐川氏の合気を継ぐ者が生まれたことに、希望を見い出します。彼の合気に対する解釈も、非常に興味深いものがあります。武道に関わる方は是非、の一冊。2010/10/19
ラウディ
0
「身体の鍛錬をしっかりしないと、技自体がなりたたない」って感じの言葉が実にしっくりときました。2017/01/06