内容説明
山本周五郎は、二人の天下人をいかに見つめていたのか? 多くの時代小説を書き残しながら、その作風から、決して戦国武将を正面から描くことをしなかった周五郎。本書に収録された八篇――「信長編」四篇と「家康編」の四篇――それぞれに仕えた家臣達の物語を通し、その背景に立ちのぼる天下人の姿とは!?
目次
曾我平九郎
違う平八郎
あらくれ武道
羅刹
御馬印拝借
良人の鎧
落武者日記
平八郎聞書
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
じいじ
103
信長と家康―戦国の世を勝ち抜いた今でも人気の武将二人。周五郎が、家臣や敵軍武将の視点からみた二人を描いた、ユニークな発想の信長。家康物語です。他の読み物ではあまり日の当たらない武士たちなので、とても新鮮さを感じます。◆26歳の若武者に粋な気配りをする信長。恩返しなのか?桶狭間の戦いに夫婦揃って参戦して活躍を…◆天下分け目の関ヶ原の戦で敗れた石田軍の落ち武者。介抱する村娘に、亡き妻のやさしかった面影を見る感動の話…など、さすが山本周五郎、読み応えのある八つの短篇です。2018/11/26
しろくま
28
タイトルこそ『信長と家康』だが、主人公は、戦国の最中に名もなく露と消えた者や市井に生きる人々。本能寺や関ヶ原など、戦乱に巻き込まれる彼らの目を通して信長や家康の輪郭が顕になっていく技法は、歴史小説としては珍しいが、人間を描き続けた山本周五郎にとっては必然だったのかもしれない。時にクスリと笑え、時に温かな感動に包まれるのは、そこに描かれる人々が生き生きと、そして精一杯自らの命を燃やしているから。史実の影に隠れ、スポットを当てられることがなかった人々も、確かに「生きていた」ことを感じさせてくれる良作。2021/04/17
KEI
27
タイトルこそ『信長と家康』だが、主人公はそれぞれ信長と家康の周囲にいた名もなき人々を描いた8編の短編。そこから信長と家康の姿や時代背景も浮かび上がってくる。面白かったのは【違う平八郎】家康の名だたる家臣本田平八郎とは違う本田平八郎が寧々の言葉に励まされて本田平八郎依次となるまでの姿が面白かった。【落武者日記】関ヶ原の戦いで西軍に加わった大畑祐八郎が落武者として追われ、とある農家の娘に助けられたが、捉えられ家康の前でする問答により放免とされる経過が家康の大きさを感じさせる。短編なので読み易かった。2024/05/05
kousei
9
苦手な時代小説だが、短編なのでチャレンジ。家臣を通して主君の人となりを表現し、時代背景も見えてくる良い話が中心。会話文も時代がかって知識がないと読みづらいが、各短編の主人公の生き様が浮かび上がってくる。しかし余談だが当時リアルにこのような喋り方をしていたのだろうか。知識がないと時代劇の脚本など書けないな2020/11/06
Book Lover Mr.Garakuta
6
信長と家康に関する8編の短編集。其々読みごたえがあり、著者独特の作風も感じ、面白いともう。同じ時代を生きた人たちでも、切り口が違うとまた変わるんだなと思う。2018/11/26
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