内容説明
浅田次郎が描く米国人青年ニッポン発見の旅。
日本びいきの恋人、ジェニファーから、結婚を承諾する条件として日本へのひとり旅を命じられたアメリカ人青年のラリー。ニューヨーク育ちの彼は、米海軍大将の祖父に厳しく育てられた。太平洋戦争を闘った祖父の口癖は「日本人は油断のならない奴ら」。
日本に着いたとたん、成田空港で温水洗浄便座の洗礼を受け、初めて泊まったカプセルホテルに困惑する。……。慣れない日本で、独特の行動様式に戸惑いながら旅を続けるラリー。様々な出会いと別れのドラマに遭遇し、成長していく。東京、京都、大阪、九州、そして北海道と旅を続ける中、自分の秘密を知ることとなる……。
圧倒的な読み応えと爆笑と感動。浅田次郎文学の新たな金字塔!
※この作品は過去に単行本として配信されていた作品の文庫版となります。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐々陽太朗(K.Tsubota)
129
ニューヨーク育ちのアメリカ人青年ラリーが日本を旅して、日本の文化に驚いたり感動したりする姿をユーモアを交えて描いている。日本のことをよく知っているはずの我々が、案外その良さを意識しておらず、外国人の目を通してみて改めて再認識するという構図がおもしろい。まさに日本再発見。小説の出来としては上々と言いがたいが、著者の慧眼に舌を巻く。2019/02/15
chantal(シャンタール)
84
その昔日本と戦っていた元軍人の祖父に育てられ、日本大好きな恋人を持つラリー。その恋人に「日本を見て来て」と懇願され、一人日本へ旅立つ。ラリーの日本すったもんだ道中を読みながら、これは日本を褒めつつ実はディスってるのか?と考えてしまう。特に女性の書き方酷くない?別に日本人女性のみんなが西洋人好きなわけじゃないだろうに。基本的には日本の良さを見直しましょう的な路線なのかなとは思うが。私もだいぶ長く日本を離れていたけど、日本では当然と思われているサービス等、そうじゃないんだよって事は声を大にして言いたいかも。2021/08/07
やも
81
日本嫌いの祖父を持つ僕が、日本贔屓の彼女・ジェニファーとの約束で日本へ一人旅。速攻で京都マジックにかかる。…マジックにかかりすぎおす。旅先・京都で出会ったキモノガールとワンナイトをトゥゲザーまでしはるなんて。その後も日本各地を巡る。クシアゲ!オンセン!ヒロシマ!ギンブラ!スシ!クレインダンス!…クレインダンス?あの人はもしや。▶翻訳本みたい。読みにくさと読み応えと笑いと感動と。ジェニファーの謎が解けるラストがいいね。NIPPONワンダフル🇯🇵ビューティフル🇯🇵清水寺の紅葉を見に行きたいな🍂★32022/11/17
おかむー
81
単行本の初出が2015年なので最近の「外人から見たニッポンスバラシイ」を先取りしてたのかな、文庫化で初読み。『もう少しです』。主人公のアメリカ人青年ラリーが恋人の勧めで日本を旅してその良さを知る「YOUは何しに?」的ロードノベル。とはいえとてもヤンキーには思えない内向的なラリーの悩みでまずモヤモヤ。その悩みを乗り越えるドラマチックな結末に至る展開が物語であることを差し引いても出来過ぎ感が強すぎて興醒めするあたりが残念。むしろ途中でラリーが結末へ向けて誘導されている伏線でも見られれば納得できたんだけどね。2018/11/02
バイクやろうpart2
74
浅田次郎さん作品7作目です。折しも昨日、訪日外国人が3000万人突破のニュースが流れ、タイムリーさを感じました。外国人目線で日本を真面目に考察するところが、とても新鮮。『サルルン・カムイ』なんか、いい響きです。温かみを感じる出会いでした。2018/12/19