内容説明
酒を愛し、肴を楽しみ、人を愉しむ。
『太田和彦の居酒屋味酒覧』『居酒屋百名山』で知られ、居酒屋の本を何十冊も書いてきた「居酒屋の巨匠(本人豪語)」が、関西の優れた食雑誌「あまから手帖」から受け取った一本の電話―――。「関西の居酒屋を取材連載しませんか」と。
電話口の太田和彦氏は…「あんたはん、よう知っとるつもりらしいけど、まだまだでっせ、まあ来てみなはれ(本人意訳)」と受け取り、果敢に関西の食文化へ挑む。
東京とはちがう肌合いの居酒屋、二の足を踏み、敷居の高さを感じる割烹、そして、酒場を描いた切り絵作家、故・成田一徹氏の作品を手に訪れた名店バー…これは、関西のより奥深い居酒屋文化、飲食文化への挑戦の物語である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のぶ
63
いつも読んでいる太田さんの居酒屋探訪。今回は関西に進出し、大阪、神戸、京都を中心にいろんな店を紹介してくれている。関東との違いとか、思わずうなずくところがあって面白い。さすがに京都の居酒屋は敷居が高そうだ。居酒屋と割烹の違いとかも説明されていて、こだわりは半端ではない。たかが居酒屋と自分は思う事もあるが、これだけ熱心に訪ねていると、自分の知らない奥深さを感じる。自身の生きがいを持てる人は幸せだ。次なる新刊も出ているのでまた読むだろうな。2018/11/19
佐々陽太朗(K.Tsubota)
59
太田和彦氏の居酒屋紀行ものは過去何冊も読み、あちこち旅したときに訪れる店を考える際の参考にしている。本書もそうした一冊として購入した。うれしいことに私の住む関西の名店紹介ときた。居酒屋編、割烹編、バー編と三つのカテゴリーに分かれている。私が注目するのは居酒屋だが、少し敷居は高いがもちろん割烹にも行きたい。バーは居酒屋で飲んだあとの気分次第だ。いつものように未だ行ったことのない店にはGoogleMapに☆印をつけていった。これで準備は万端。さていつ行こうか。早く行きたいと気がはやる。2023/02/15
ユメ
44
関東の居酒屋はすでに知り尽くした巨匠は、「関西らしい居酒屋」を追求して京都、大阪、神戸を巡る。太田さんの居酒屋探訪記は、酒や肴についてだけでなく、店主の人となりもしっかりと記してくれるところが好きだ。店を守り続けてきた主人の思いから、居酒屋の歴史の重みが伝わる。居酒屋に通うということは、その店の歴史に組みこまれるということ、自分の来し方を肯定してもらえるということ。だから「古い居酒屋=居酒屋遺産」なのだと言う太田さんに拍手したい気持ち。下戸な私はこのような素晴らしい居場所を持てないのだと思うと口惜しい。2018/11/16
Shoji
42
大阪、京都、神戸の居酒屋、割烹、バーの食レポエッセイです。あまから手帖の連載もののようです。関西の味(いわゆるダシ文化)を強調して書かれています。さらりと読めますが、いささか敷居の高い店ばかり。次作は敷居の低い店の紹介に期待です。2019/12/05
犬養三千代
6
居酒屋から格上げして割烹に挑戦!居酒屋は酒51%料理49%だとか。割烹は料理の割合がもっと高いとか。店の調度、大将との会話、料理の引き出し方など慣れるにつれて観察は鋭くなる。バーでは成田一徹さんの挿し絵が素敵だ。敷居高い、値段もお高いらしい。2020/02/28