内容説明
昭和の名人・古今亭志ん生の長女が、志ん生を中心に、母、妹、弟(馬生、志ん朝)との、貧乏だが愉しく豊かな昭和の暮らしをふり返る。肉親にしか書けない名人たちの舞台裏。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yamatoshiuruhashi
28
志ん生の長女にして馬生、志ん朝の姉が書く美濃部一家のありよう。お母さんが、一番すごいね。あれだけ金を家に入れないお父さんをしっかり見守りつつ、内職で家族を養う。お母さんなかりせば志ん生はなかったのだとよくわかる。志ん朝がドラマに出ていたのは覚えているが、志ん生の落語を放送で観たこともない。それでも時代背景と共にその雰囲気が伝わってきた。2018/12/15
ともこ
8
頬を春風に吹かれるような、志ん朝さんの軽快な落語が大好きで手に取った本。志ん生さんの長女美津子さんの飾らぬ語りは、隣のおばさんのおしゃべりを聞くようだ。ご家族を次々と見送り、お辛かったことだろう。63才で逝ってしまった志ん朝さん。今、ご存命でも80才と思うと、天国へ呼び寄せられた神様が恨めしい。手元にある音源が、いっそう宝物に思えた。2019/06/12
qoop
8
一家の長女が語る家族それぞれの姿。エピソードの面白さという点ではやはり志ん生が抜群。その奇人ぶりが際立つ。破天荒な昭和の芸人像… というより純粋に変わった人だなぁ、と。さらに表題通り、家族たちを見とる様子が何とも云えない。年齢を重ねた著者が当時を振り返りながら情感を蘇らせ、同時にそれからの歳月を感じさせる語り口の重み。ごく私的な話を聞いているような親密さを感じた。また馬生、志ん朝ら個々の人柄を語りつつ、語られていないそれぞれの関係性が察せられるのも趣き深い。2018/10/27
tomo6980
3
昨日の「食卓」に載っていた話も多数。でも、何度聞いてもいいものです。今さらいうまでもなく、ほんとにヒドイ人なのだよな。ただ芸にだけは真摯で、艱難辛苦の末に名人と称される。なんてある意味、理想の生き方かも。そこが愛されキャラたる所以ですが。これを「業の肯定」って言葉にすると白々しいね。ま、付き合わされる家族はたまったもんじゃないけれど。2019/01/11
amo
3
美濃部家一家のお話… 大好きな志ん生・馬生・志ん朝師匠を近くに感じれました。