ちくま学芸文庫<br> 餓死した英霊たち

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ちくま学芸文庫
餓死した英霊たち

  • 著者名:藤原彰【著】
  • 価格 ¥1,100(本体¥1,000)
  • 筑摩書房(2018/10発売)
  • ポイント 10pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480098757

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内容説明

アジア太平洋戦争において死没した日本兵の大半は、いわゆる「名誉の戦死」ではなく、餓死や栄養失調に起因する病死であった──。戦死者よりも戦病死者のほうが多いこと、しかもそれが戦場全体にわたって発生していたことが日本軍の特質だと著者は指摘する。インパール作戦、ガダルカナル島の戦い、ポートモレスビー攻略戦、大陸打通作戦……、戦地に赴いた日本兵の多くは、無計画・無謀きわまりない作戦や兵站的な視点の根本的欠落によって食糧難にあえぎ、次々と斃れていった。緻密な考証に基づき、「英霊」たちのあまりにも悲惨な最期を明らかにするとともに、彼らを死へと追いやった責任を鋭く問う、告発の書。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kinkin

107
日中戦争、太平洋戦争で230万人もの兵士が戦死したうち180万人が飢餓や病気だったことに改めて驚く。ガダルカナルやインパールは有名だが、どこの戦場でも補給物資が届かないため戦闘することなく死んでいった。原因は、ほとんどが軍幹部の無策、精神論の強要だ。、いわゆる放ったらかしだ。それは本人も餓死しない者も悲惨であったと思う。以前インパール作戦で生き残った老人が、涙を流しながら戦争について語っていたテレビ番組を見たことがある。戦後80年経過する中、戦争のような愚弄なことは絶対やめなければならない。2024/05/03

ベイス

107
加藤陽子さんが必読書にあげていた。アジア太平洋戦争の日本軍戦没者230万の過半数は、戦闘で死んだいわゆる「名誉の死」ではなく、餓えと病気による「餓死」である、との告発。第一章でガダルカナルやインパールなど個別の戦場の実態が、第二章でなぜこんな無惨な事態が繰り返し引き起こされたのかの検証がなされる。著者本人が従軍していたこともあり、その筆はマグマのような憤りが沸沸と横たわりつつ、理路整然としていて鋭い。類似の『失敗の本質』より、こちら方が腹に落ちた。中でも「幼年学校」による偏狭な教育の弊害を指摘したは白眉。2023/05/19

skunk_c

75
著者は岩波新書の『昭和史』(共著者は遠山茂樹・今井清一でいずれも自分の進学した大学の教授)であり、本書の元の出版社から考えてももう少し癖があるかと思ったが、まっすぐ史実に向かい合って書かれた名著だ。四半世紀前の古さ(例えば東条英機が日米戦を始めたという1954年の説を無批判に挙げるが、今まではほぼ否定されている)も感じるが、自身の体験も含めた日本陸軍の兵站軽視や人命無視の作戦と、それを進めた当時のエリート軍人(著者自身が士官学校出の将校)を批判する筆致は抑制が効いているが鋭い。あの戦争を知るための必読書。2024/06/06

たまきら

50
読み終わって自然に手を合わせました。史実の正誤は私には議論するほどの知識がありません。けれども実際にあの大戦で作戦を指揮し、白兵戦がいかに武器の質や量できまるかを自分の命をかけて体験した人だから書けることを感じ取ることができました。生き残った著者から、亡くなった人たちの声なき声が湧き上がってくるのを感じます。こんな風に若い人たちを二度と死なせてほしくない。こんなことのためにお母さんたちは腹を痛めてあなたたちを生んだんじゃない。それなのにまた嫌な臭いがするんです、世界中で…。2024/06/08

かおりんご

30
歴史。何が一番ショックだったかというと、先の大戦で亡くなられた方の大半が戦病死だったこと。華々しく戦ってなくなられた方も勿論おられたけれど、火力装備軽視、兵站軽視の白兵主義で、ただ精神力だけで戦った方たち。戦病死には、マラリアや赤痢、栄養失調で命をおとした方が含まれます。日清日露の歴史から学ぶことなく、机上の空論、理想だけで作戦を実行していったのでしょう。さらに、戦病死に拍車をかけたのが『生きて虜囚の辱しめを受けるな』という軍規。人の命を軽視しすぎです。読んでいて、とてつもなく切なくなりました。2018/08/17

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