内容説明
「女は成仏できない」(五障)、「女は男に変身することによって成仏できる」(変成男子)――仏教は、女性を蔑視しているのか? 古くて新しいこの疑問を、サンスクリット、漢訳からの豊富な引用と緻密な論で質してゆく。インド思想研究の第一人者が正面から挑んだ、21世紀の「ジェンダー仏教論」。※原本『仏教のなかの男女観――原始仏教から法華経に至るジェンダー平等の研究』(2004年、岩波書店刊)を改題・改稿
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
松本直哉
20
生れではなく行いによって、人は貴くも賤しくもなるというのが仏陀の教えの根源ならば、男女差別もありえなかったのに、いつのまにか女は成仏できないとなったのは、仏陀の後継者が保守化してバラモン的な性差別を仏教に持ち込んだためだった。既成の差別を全否定する仏陀の教えがあまりに革命的なのでその後のインドで受容されなかったのもうなずける。聖書の場合と同じく仏典も、どこまでが仏陀の肉声でどこからが後世の加筆かの問題が起こるが、比較的肉声をよく伝えるパーリ語の文献をたどりながら、仏教の原初的な姿を復元する試みが面白かった2019/10/31
南北
20
仏教は女性差別をしているという見解が仏教学者からも出ていますが、それに対して著者は特にインドの仏教について、法華経をサンスクリット原典から読み解いて、反論しています。一口に仏教での女性差別といっても、釈尊の女性観と小乗仏教や大乗仏教の女性観、さらには法華経の女性観はそれぞれ異なっています。インド社会では古代からあった女性差別の傾向を釈尊が否定したものの、小乗仏教が盛んになると男性出家者中心の考えになり、大乗仏教でそれを克服しようとしつつも残っていた男性出家者への逆差別を法華経が克服したということです。2019/06/02
いとう・しんご singoito2
9
タイトルに惹かれて借りてきましたが、読むに堪えない愚著(八章、九章は読み飛ばし)。まず、性多様性についての議論も盛んになっているなか、そもそも差別とは何かについての検討を一切行うことなく、仏教に女性差別はない、という主張にを好都合なテキストを特筆大書しし、不都合なテキストは周囲の人々(ヒンドゥー社会や中国の家長的家制度)の差別意識の反映に過ぎない、あるいは、差別論者の読み方が浅薄である、と責任転嫁している。優れた文献学者ではあるが、信仰者としての主体性や倫理的責任は極めて低い。→2024/08/11
灯子
3
知人に勧めてもらい購入。 著者の植木先生は、原始仏教の大御所。 仏教には瞑想が主な宗派や、修行が主な宗派があるように、人それぞれ仏教への見方が異なる。 女性は成仏しない。 と説く考えは原典の原始仏教にはないことを、丁寧に説明されている。 なぜ仏教が生まれたのか。 知れば知るほど面白い。 仏教はまやかしの宗教かと勘違いしていた。2019/03/10
はちめ
3
著者が法華経の翻訳をサンスクリット語と中国語と両方から行った成果が現れている。日本や中国におけるこれまでの仏教探究は、原則として漢訳された仏典を基に行われてきたため、サンスクリット語の仏典に遡ったときにさまざまな矛盾に遭遇せざるを得なくなる。いわゆる大乗非仏のような議論が生じることになる。著者はこの問題にはあまり踏み込まないが仏教界は真摯に対応すべきだと思う。☆☆☆☆☆2018/12/30
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