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内容説明
人間嫌いの厭世病。人の心の深い闇を描いた夏目漱石は、多病持ちだった。疱瘡、眼病、強度の神経衰弱、糖尿病、結核への恐怖、胃潰瘍……。次々襲う病魔と、文豪はいかに闘ったのか。医師との付き合い方、その診療にミスはなかったのか。そして病は、彼の生み出した文学にどんな影響を与えたのか――。ままならない人生に抗い、嫉妬し、怒り、書き続けた49年。その生涯を、「病」をキーワードに読み解く!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こばまり
52
文豪の生きざまに対する医学的なアプローチが謎解きのようで面白い。加えて西洋医学興隆期の、スター医師達の生身の姿が興味深い。然し乍らここまで深読みされると、いやそれ程でもなかったんよと、ご本人に抗弁させてあげたくもなる。2019/02/02
100名山
3
掟破りの解説本から夏目漱石に入りました。 唯一読んだのは「抗夫」のみ。 あんなのは人から聞いた話を書いただけ。 「坊ちゃん」なって言うのを書いているのだから夏目漱石は帝大出の坊ちゃんなのだろうと思っていました。 これを読んで結構大変な人生を歩んだことを知りました。 今度夏目漱石を読んでみようと思いました。 本作は非常に読みやすく、夏目漱石を知らない私にも面白く読めました。2018/11/20
Shiho
2
「厭世病」があり、「困つたことに自分はどうも変物である」との意識があり、「己を曲げずして」「忙しくなく時間づくめでなくて飯が食へる」生活を志向する漱石に強く共感した。 漱石が熊本の高校にいた頃、その高校に、森田療法の森田正馬が通っていた。漱石のメンタル疾患は、小説の形で自らの感情を表現し客観化することで和らいだのではないか、そしてそれは、図らずも森田療法の第二期の日記療法のようだとの考察が興味深い。 私も「あるがまま」を日記にする習慣をつけ、禅の勉強を始めてみようと思う。2021/09/06
takao
1
ふむ2020/12/30
Sosseki
1
漱石の目の病気、明治の医師や医学を中心に知らないことがたくさんあった。ただ、「神経衰弱」は、統合失調症とか、恵まれなかった家庭環境(児童虐待)とか、諸説あるが、痘瘡による脳炎や、あばたコンプレックスというのは、ちょっと納得できない。「行人」は執筆が中断したくらいの病状だったが、これについても言及がなかったのは残念。2018/11/19