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内容説明
問題はトランプではない。リベラル派が自ら招いた惨状に気づかないことが問題なのだ――。二〇一六年の大統領選挙直後に《NYタイムズ》で大反響を呼んだ論考を書籍化。中道リベラルを自任するコロンビア大学教授が贈る、アメリカ社会再生のための渾身提言。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふみあき
32
書店で取り寄せして購入したのだが、現物を手にして価格の割の薄さに驚いた。遅読の私が2日で読み終えてしまった。それはともかく、リベラルの政治学者である著者は、現今のリベラル衰退(ひいてはトランプ大統領誕生)を招いたA級戦犯は、アイデンティティ政治だと分析する。それは超個人主義という意味で、思想的には真逆のレーガンの新保守主義と相似している。リベラル再生に必要なのは、多様な階層を横断する「市民」という主体の復権、というのが著者の提言だが、左派の構成員から労働者階級や農村出身者が消失した現状を考えると望み薄か。2023/01/08
Mc6ρ助
10
『重要なのは、・・知識と議論だ。・・自分に似ていない人たちにも関心を向けるべきだ。国全体と、すべての市民について考えること、また必要であれば国や市民のために犠牲を厭わないこと。国全体の未来を考える大きな視野・・まずは市民がいなくては・・リベ ラルな市民がいてはじめて、国をより良い方向に動かすことができる。ドナルド・トランプ・・に対抗したいと望むのであれば、まずはそこから始める必要がある。(p149)』アイデンティティー・リベラリズムにさようなら、『私たちは何よりもまず市民なのだ(E・ケネディ上院議員)』2018/11/18
pb_lack
6
リベラル派の政治運動のリベラルによる批判の書。第一にレーガン以降の個人主義的な考え方に適応しすぎて個人の問題を優先し新自由主義に親和性が高くなってしまったこと。第二にアイデンティティ・ポリティクスによる運動を重視しすぎ広く一般に支持を得るという姿勢を失ってしまったこと。ここは『大人のための社会科』「運動」の章に通じるところがある。解決策は、広く「市民」としての連帯することに目を向け身内の運動で閉じずに選挙を通じた実効的な力を取り戻すことを重視せよ、というもの。やや抽象的だが姿勢としてはもっともであろう。2018/11/08
g_eiru
5
メチャクチャ良いですね リベラルが個人のアイデンティティに基づいた主張しかしなくなり、多数派となることを目指さなくなってしまった事への説教 「市民」という万人と共有出来るアイデンティティをベースにするべきという指摘2020/08/27
chiro
5
トランプを生んだアメリカが実はある意味で蓋然性があった事をレーガン政権以降のアメリカの変化をひもときながら、如何にリベラルを再生させるかについて語られている著作。民主党がレーガン政権が誕生した事実の背景を見誤ったことが全ての始まりであったが、ここに記されているように民主党が支持基盤とするリベラル層が変化の胎動をリアルに感じられない、ある意味幸せな人達であったことが足下を掬われたのは先のトランプを生んだ選挙と同じ構造であり、リベラルはそれがどういった背景にあるかを正しく把握することが必要だと主張している。2019/09/24