岩波新書<br> 戦争体験と経営者

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岩波新書
戦争体験と経営者

  • 著者名:立石泰則
  • 価格 ¥858(本体¥780)
  • 岩波書店(2018/10発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
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  • ISBN:9784004317289

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内容説明

若くして戦場に赴き,戦後は経営者として活躍し,地位と名声を築いた人たち.その時の苛烈な「戦争体験」は,彼らのその後の生き方や企業観,経営手法に,どのような影響を与えたのか.企業取材歴40年のノンフィクション作家が,取材の過程で出会った経営者たちの肉声をふり返りながら考える.

目次

目  次
   はじめに

 第一章 戦地に赴くということ
   堤清二/父・康次郎の出現/理系から文系へ/堤の戦争体験/中内功/一兵卒として戦地に派遣される/ルソン島での飢餓体験/堤、共産党に入党する/共産党の査問を受け、除名/西武百貨店に入店、「セゾングループ」へ/辻井喬での創作活動/バブル景気を追い風に/平成不況の中でグループ解体/ 「よい品をどんどん安く」/他人のために生きる/ 『わが安売り哲学』/私は商人である/ 「ソビエトをつくろう」/関西財界の重鎮に異議/ 「そんなええかげんなことを言うのはおかしい」/阪神淡路大震災の被災者を励ます/晩年の中内
 第二章 日本軍は兵士の命を軽く扱う
   ケーズデンキ・加藤馨名誉会長の「お別れ会」/ 「戦争ほど悲惨で残酷なものはありません」/職業軍人の道へ/暗号班長として/ノモンハン事件で見たもの/大本営への疑問/日本軍の無謀な戦いぶり/敗戦、そして仕事探し/ボロ家で始めた電気店/明朗会計と無料修理/ナショナルショップから混売店へ/株式会社カトーデンキ/定年まで働いたら財産ができる組織に/東証一部上場を実現/ 「がんばらない経営」/個人の尊厳と自由意思を尊重した人生
 第三章 戦友の死が与えた「生かされている」人生
   ワコール会長の神がかり的な発言/ 「絶対に商人になる」/ 「近江商人の士官学校」での出会い/中村伊一/川口郁雄/八幡商業時代の三人/ラブレター事件/卒業後の進路/インパール作戦に従軍/ 「白骨街道」を歩く/ 「なぜ自分だけ生き延びたのか」/婦人洋装下着を専門とする株式会社へ/塚本の女性観、平和への希求/川口の戦争体験/塚本との再会/学徒出陣で満州へ/ソ連での収容所生活/塚本幸一からの誘い/トロイカ体制で発展/ 「経営危機」にどう向き合ったか/四つのビジョン/ 「相互信頼の経営」へ/戦争が三人を結びつけた
 第四章 終わらない戦争
   ある商社マンの戦争体験/ 「オレは、いまから鬼になる」/国民の生命を守らない軍隊/シベリア抑留の経験/日本軍敗北の真相/珊瑚海海戦での日米異なる対応/目先の勝利が大切なのか/ 「全体」に無条件に尽くす「個」/山下俊彦の経営/ 「個」を活かす人事/左遷されていた労組役員を抜擢/受け継がれなかった山下革命
   おわりにかえて

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

rico

77
戦争体験が経営に与える影響とは。勤務先の創業者が「原点は戦地から戻ってきた時に見た焦土」ということを語っていたのを思い出し、手にとる。全体的には某誌の「私の〇歴書」に戦争体験が含まれるという感じだが、やはり、実際に戦地に赴いた経営者達の言葉は迫力が違う。例えば、防衛力増強を説く財界の重鎮に公の場で真向から反論した中内功。ダイエーをはじめ、いわゆるBtoBではなく、一般消費者に直接向かい合う企業が並んでいるのは象徴的。著者は現在の日本の問題にも論を進める。深みはないかもしれない。でも、すっと入ってくる。2021/12/10

nnpusnsn1945

49
経営者は戦争体験の有無によって差が出るらしい。どのリーダーの考えにも納得できる。個人的には加藤馨氏の話が面白かった。帰還しても職業軍人であったがゆえに仕事が見つからなかった。どうにか家を借りると、通信兵時代に身に着けたノウハウから電化製品の修理を請け負い、ケーズデンキの始まりになったらしい。ワコールの塚本幸一氏もインパール作戦に参加したようだ。戦後日本会議の初代会長になったが、宗教的な側面(日本会議に吸収された日本を守る会は氏が属していたが、宗教系団体らしい)でそうしたようだ。 2021/02/12

Porco

15
戦争体験が経営にどう影響したかを実証的に説明するわけではなく、戦争経験のある経営者の列伝といっていい内容ですが、このテーマは非常に興味深い。高度成長と戦争体験の関係についての実証的な研究とかないのだろうか? どうやればいいのかわからんけど。2020/03/24

CTC

11
18年7月の岩波新書新刊。著者はビジネス分野に強みのあるノンフィク作家。1,000人以上の経営者・幹部への取材を通して、皆「必死に生き抜いてきた人たち」だったが、“戦争体験の有無”が「経営者としてだけでなく人間としての生き方、営みに決定的」に影響したのでは、と気づき、考察するもの。とはいえ題材をぐっと絞って、セゾンの堤清二(戦場体験はない)、ダイエーの中内功、ケーズデンキ加藤馨、ワコール塚本幸一について考察している。私は企業家のエピソードを読みつけないから、大変面白かった。ケーズデンキ、ファンになるね。2019/10/17

nishiyan

8
戦争体験を切り口に、セゾンの堤清二、ダイエーの中内功、ケーズデンキの加藤馨、ワコールの塚本幸一、中村伊一、川口郁夫の6人の経営者の戦争と戦後の歩みが書かれている。最終章は戦争体験から日本軍が人命軽視だったことから転じて、松下電器の山下俊彦の目指したものと挫折から、今も「戦争」は続いていると著者は述べている。戦争が「個」に対して無条件かつ無制限に「全体」への奉仕・自己犠牲を強いるものであり、この体質は戦後の社会にも受け継がれている、こうした視点は面白いと思った。2018/09/27

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