内容説明
日本にはこんな経営者がいた
黒四ダム建設に心血を注いだ関西電力初代社長・太田垣士郎の本格的評伝。
果敢にリスクを取り次世代のために投資した経営者の素顔。
全身これ胆かという関西電力初代社長・太田垣士郎。
彼の決断と覚悟によって黒部第四ダムは完成し、関西の復興は成し得られた。
社会のために命を削って大いなる賭けに挑み、
“経営の神様”松下幸之助をも脱帽せしめた男の生き様がいま甦る!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
となりのトウシロウ
20
初代関西電力社長であり、有名な黒四ダム建設を進めた偉大な経営者である太田垣士郎の生涯が書かれた本。大破砕帯にぶち当たって難航する工事現場に激励に訪れた士郎を危険だからとトンネル内に入るのを止める秘書に対して「その危険なところで作業をさせているのは、社長の僕なんだよ・・・」という言葉や、「会社の今日あるは、生きている人間の力だなんて考え違いをされると困る」という士郎の人柄が偲ばれる言葉に胸が熱くなり頬に涙がつたう。「怒らず、焦らず、恐れず」困難な時にこそ太田垣士郎のこの言葉を思い出したい。2018/12/26
trazom
17
太田垣士郎さんと言えば、関西電力社長として、強い意志で黒四ダムの建設を完遂したことが余りにも有名だが、この本は、この経営者の出生から阪急時代を含めた全貌を遍く描いた評伝である。電気新聞の連載だからか、光の部分だけが肯定的に描かれているようにも感じるが、それにしても、太田垣さんの言葉の一つ一つには深い含蓄がある…「怒らず、焦らず、恐れず」「企画は衆知、実行はワンマン」「人間本来無一物」「八風吹不動」「兎門」。北康利さんの評伝は、どれも、読む人を元気にさせる。荒波の中でも颯爽と生きる清々しさに、勇気をもらう。2018/11/13
大阪のきんちゃん2
9
東日本大震災に伴う福島原発事故以来、東電は勿論関電さんも社員の士気高揚にご苦労されていることでしょう。 この本は電力エネルギー逼迫の時代に黒四ダムに象徴される数々の事業や労務対策・財界活動に手腕を発揮して、関西電力を育て上げた名経営者、太田垣士郎の伝記です。 その前には阪急電車の社長もやってた人で関西では特別な人です。 読んでて元気が出てきます。企業人としての矜持・やりがい・逆境での処し方を指し示してくれてます。 企業人の皆さん、これを読んで元気を出しましょう!! 「黒部の太陽」また録画観ようっと。2019/08/17
じゅんぺい
6
まさに不動心という感じだった。明治初期や前向きで挑戦している時代の話はとても好き。莫大な資金調達を駆使しながら電源開発を進めてくれたおかげで今がある。原子力含め10年先を見越せる先見性があったんだろう。今の時代に生きてたらどんな経営者になっていたんだろうか。2022/08/18
ue3104
6
関西電力初代社長として、黒四ダム建設に挑んだ太田垣士郎氏の物語。 人間の器は徳性で決まる。誰もが「あいつだったら大丈夫」「あいつがやるのなら」と、期待され、信頼される男の生涯。かっこいいし、憧れる。少しでも近づけるように、自分を律していきたい。2020/12/12