中公文庫<br> 保守のヒント

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中公文庫
保守のヒント

  • 著者名:中島岳志【著】
  • 価格 ¥924(本体¥840)
  • 中央公論新社(2018/09発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784122066144

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内容説明

「保守」という思想はいったいどのようなものであるか? 小林秀雄、三木清、橋川文三、福田恆存、竹内好、大川周明……。近代日本史をふまえつつ、気鋭の研究者は先人たちを訪ね直し、保守思想をその起源から描出した。混迷の現代日本にも迫り、読者に新たな発見を与える保守のヒント集。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

ふみあき

66
本来リベラルな人間が保守思想を論じる、という意味では、宇野重規の『保守主義とは何か』と同系統の本(出版されたのは本書の原本のほうが先)。例によってバークから説き起こされるが、著者の専門が近代日本政治思想なので、大川周明、三木清、橋川文三、小林秀雄などが俎上に載る(平成まで来ると窪塚洋介や堂本剛の名前も)。ところで著者は、小泉構造改革が「自己の代替可能性」という不安を社会に蔓延させたと言うが、小泉以前、さらには前近代の人々だって「人間が尊厳をもって生きることのできる『根拠地』」を持っていたかどうか疑わしい。2025/08/31

踊る猫

25
ぼくは政治に関しては全然知識を有していないのだけれど、中島岳志の本や論考はチェックしている。それは、中島岳志という人が弱者に共感する体質を備えているからだろう。理論的な合一以前に本書でも(結局は批判的に距離を取るものの)窪塚洋介や宮台真司といった論客に共感を示し、そこから如何に「保守」の立場の自分の論理へと読者を導くか試行錯誤が試みられている。優しい人なのだろうな、と思う。ぼく自身中島と同じロスジェネなので、彼を支持する。ところで、天皇制に関する議論がなされていないのは片手落ちというやつではないだろうか?2020/08/16

ゆうきなかもと

10
中島岳志は個人的にシンパシーを持っている思想家だ。本書は単行本で読んだ。保守主義の定義がくり返ししっかり書かれている本なので、右派とか左派といった言葉の理解には本書が一番オススメかも知れない。あと北一輝や大川周明を右派として扱うことに対する疑義は全面的に賛同。 宮台真司との対談と、"大川周明・幻の原稿"と"若者の「自分探し」と平成ネオ・ナショナリズム"が個人的には刺さった。2021/05/13

金北山の麓で育って

3
【40代の虚無感を知らず恥ずかしい】「踊る猫」さんから。「平成ネオ・ナショナリズムの克服、昭和維新を見直せ」がテーマで西部邁の二番煎じの心配は大間違い。橋川文三の「残した課題を、生涯をかけて引き継」ぐという。さらに秀逸は窪塚洋介・堂本剛を取り上げ私のような鈍感な50代以上が解っていない若い世代の心の闇を分析説明、すいませんぬるい奴らだとしか思ってませんでした。宮台真司を私は大嫌い(結構読んでます)だが、著者は宮台の読者の自死を受けての戦術転換を高く評価する、私は納得出来なかった、馬鹿者で覚悟が足らないだけ2020/08/22

岩巳岳雄(Takeo Iwami/leas201903)

2
戦前のナショナリストによる一君万民や国家主義の超克の理想が、結局は現状肯定・追認の論理に置き換わり、あの悲惨な戦争として回収されていく。「金持ちも農民も一兵卒は一兵卒」という軍隊内部の擬似平等社会も一役買ってしまったのかな。 東京五輪が象徴するように、コロナ禍では感染症そのもの以上に、社会や政治の著しい劣化・腐敗が露わにされた。「保守」は、小林よしのりや窪塚洋介のようなある種の(チープな)ロマン主義を経て、いまやただ現状を追認するだけの装置に成り下がったように見える。歴史は韻を踏む。2021/08/10

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