内容説明
実直な刑事の徳持が捜査に出たきり行方不明になった。捜査係は総力をあげて事件の解決に乗りだすが、彼とやくざについての噂が同僚のあいだに疑念を呼び起こす。そんな中、徳持はホテルで扼殺死体となって見つかる(『夜の終る時』)。二部構成の鮮やかさと乾いた筆致で描かれる警察組織の歪みのリアルさは今なお色あせない。日本推理作家協会賞を受賞した警察小説の金字塔に4作の傑作短篇を増補。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
geshi
28
『夜の終わる時』第一部は警官殺しを追う捜査員たち視点、第二部は犯人の腐敗した警察官視点という構成で、読んでいる間中ずっと暗い場面しか思い浮かばないダークな作品。弱さゆえに堕ちていく警察官の心情が語られるから、どうしようもなく心が寄せられる語り口の妙。出てくる刑事たちが全員人間臭く、法の順守者というステレオタイプから外れた黒さを持ち合わせているのが魅力。一方で『裏切りの夜』の貝藤刑事が行う刑事の立場を超えた決着には、人間味の優しさがありホッとできる。2018/06/09
阿部義彦
24
先だってちくま文庫から出した「あるフィルムの背景」が好評だったので再び日下三蔵さんが結城昌治さんの傑作選を警察小説に絞って編んだのが本書です。殆ど警察小説やミステリーからは遠ざかっていたけど面白かったです。表題作は叙述トリックも絡めていて本当に感心しました。結城昌治さんは私が中学時代は流行作家で私も読んでました。私高校時代は、放送部でなんとラストの短編「裏切りの夜」を放送劇化して小説を台本化(まあ殆ど台詞は丸写しで筋書きだけ時間内に収まるようにね。)して私は刑事役を演じてました!その位好きだったのです!2018/04/22
タツ フカガワ
21
長編1話に短編4話を収録。捜査に出た刑事が署に戻らず、翌日他殺死体で発見される。この刑事には捜査情報を漏らしていた疑惑もあった、という長編「夜の終る時」は1963年の作品で、前半が犯人探し、後半は犯人の犯行へ至る心理を描いた構成でとてもスリリングな警察小説でした。また短編では、バーで無銭飲食し暴行を働いた刑事の動機が切ない「汚れた刑事」が面白かった。2020/11/20
涼
19
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2019/04/post-8af196.html2019/04/22
ROKUSHIKI
12
縁あって、結城昌治氏を読むことに。 自分の生まれる前の世界の匂いが色がたっぷりと漂う作品だった。 いつの時代もドラマはシンプルで人間臭い。そんな物語が好きだ。 世代を超えた作品に出会えたことに感謝。 最高でした。2019/07/02
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