内容説明
ローマからゲルマン諸族へと地中海に展開した古代文明。イスラームの侵入による「停滞の中世」のなかで都市と商業はいかに生まれたか
目次
第一章 八世紀に至るまでの地中海商業
第二章 九世紀の商業の衰頽
第三章 シテとブール
第四章 商業の復活
第五章 商人
第六章 都市の形成と市民
第七章 都市の諸制度
第八章 ヨーロッパ文明に対する都市の影響
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
71
9~12世紀のヨーロッパ中世都市成立過程に関する古典的名著で、100年近く前の論考なのに色あせていない。具体例もあるがあまりミクロな部分には踏み込まず、「近似値」的な像を描こうとする意図がはっきりしている。背後に自身の膨大な研究があるのがうかがわれるが、それをさらっとまとめる力量はさすが。特に12世紀頃あらわれる中世都市を「防御施設のある囲いの保護の下に、商工業によって生活を営み、都市を特権的な集団的人格とするところの特別の法、行政、裁判を享受する、コミューンである」と絶妙に定義づけている(p.211)。2025/01/11
ワッピー
38
40年近く前から気になっていたものの、ようやく手に取りました。イスラム勢力の隆盛、ゲルマンの侵入がヨーロッパ諸都市の成立にどのような影響を与えたのかを読み解く古典的名著。国家・民族の動きといった大きな視野とともに都市の中の「シテ」(広場)の成り立ちや都市機能の変遷も含むミクロな視点を楽しみました。ただし、ピレンヌの文章とは非常に相性が悪かったようで、読み進むのに苦労しました。訳者あとがきを見ると、一度は読みやすさを主眼とした版を作られたそうですが、結局は原文尊重版に戻されたとのこと。とても残念です。2024/08/03
moonanddai
7
以前、西洋中世の特徴として「農業生産の増大」と「都市の成長」などだと読んだことがありましたが、この二つは別個のものではなく関連したものだったようです。中世初期、ヨーロッパは南のイスラム、北はバイキングにより海岸線が閉ざされ、古代ローマ的都市は消え、一時農業的世界になった。以後、かすかに残った商業(当初は物々交換程度)から次第に商品交易が興り、それに伴って商工業を主とする都市がそして商品農業が再び生起していった、という都市生成の流れが分かりました。その転換の契機は十字軍が海に出たからという説もあるとか。2026/06/27
ゲオルギオ・ハーン
5
アンリ・ピレンヌ先生の入門書。巻末の補足資料や訳注も充実していて意外に読みやすいつくりになっている。ローマ帝国崩壊による貿易の衰退と復興、ローマ時代からの都市と中世にて成立した都市の違いについて概要が知れる。一方で第二次大戦前に書かれているから最近の中世都市研究との違いが時々出てきます。といっても時代遅れということではありません。仰々しさが少なく、あっさりと読めるので中世ヨーロッパの都市とはどういうものかという興味をもっている人に入門書の一冊としてオススメできます。2019/12/29
ポルターガイスト
3
『ヨーロッパ世界の誕生』と併せて読んだ。高校教員がピレンヌ・テーゼをインストールしたいくらいの気持ちで読むならこっちのほうが短いし読みやすいし後半から中世都市の成立についても学べるからお得でいいかも。2023/03/30




