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内容説明
世界の激動の中で、国家をかくも駆り立てる「国益」とはそもそも何なのか? 「国益を誤れば国家は滅びる」。戦前の日本がそうであった。しかし、それほど重大なテーマにもかかわらず、私達は「国益とは何か」を真剣に考えているだろうか? 世界で国益が声高に叫ばれる今日に改めて「国益とは何か」を考えることで、日本の行方を中長期的に思考するための外交入門。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yo
12
【日本の国益とは何か?】歴史的にはどのように考えられてきたか、そして現在、日本の国益とは何か。その全体像を俯瞰したのは良い。ただ、なんとなく著者の中で国益観が固まっている一方で、それを文章にうまく起こせていない印象は否めない。日本にとって、価値を守ることはなぜ大事なのか? 中国公船の領海侵犯はなぜ脅威なのか? 中国の南シナ海での行動は、日本にとっては価値を踏みにじられていることしか関係がないのか? シーレーンに中国が出てくることの何が問題か? こういった点の説明は甘かった。2018/09/25
Hatann
5
外交の目的である国益の歴史的変遷を振り返りつつ現代における日本の国益を守る方法を探る。大戦後の日本は「国際協調=日米同盟」の図式を基本としつつ、冷戦構造下の極東地域における米軍の重要軍事拠点として機能した。北朝鮮・東シナ海・南シナ海の脅威を考慮すれば、日本としても未だに日米同盟が重要である。しかし、イラク戦争時に「国際協調≠日米同盟」が露呈し、トランプ政権下では米国が日本を保護する意思も不透明になった。米中の境界国家として「日米同盟+α」を構想し、中国と多元的な交流のチャンネルを確保することも肝要となる。2019/12/08
mochizo
3
現在のアメリカの没落と中国の台頭を軸に論じています。過激な保守系の人ではないので、しっかりと読めます。また、単に中国を怖がらずに、対等に関係構築を図っていくことも大事だという事も論じているので、色々と考えさせられる本です。2019/05/21
うららんぼう
3
著者は、日本の取るべきアプローチとして、国益と国際協調を二者択一に捉えずに、国際協調によって国益を追求することを推奨している。日本はいま、「北朝鮮の脅威」「尖閣諸島を巡る中国との軋轢」「南シナ海の問題」という3つの国際的な脅威を抱えており、また、中国とアメリカに挟まれた「境界国家」という微妙な立場に置かれている。そんななか日本が生き残るためには、日米同盟を軸にはおかざるを得ないが、+αとして、普遍的な価値を共有する諸国とのパートナーシップを志向していくべきという考えだ。残念ながらそれしかないように思える。2019/02/18
ceskepivo
2
ロシアによるウクライナ侵略前の本だが、日本の置かれた国際情勢を俯瞰できる。1873年にビスマルクは岩倉使節団に言った。「大国は自分に利益がある場合には国際法に従うが、ひとたび不利と見れば、たちまち軍事力にものを言わせてくる」。慧眼だ。2023/09/02