内容説明
吸血鬼は城から出ない。決して。……たぶん。 伝説の吸血鬼、神にさえ刃向かうという真なるバケモノ――。そう呼ばれたのも昔の話。現在の彼は、王国のかたすみ、幽霊屋敷と笑われる古城でヒキコモリ生活を送る、さえないおっさんだった。 平和で怠惰な毎日――しかし、そんな平穏はある日唐突に崩れ去る。「おじさん、朝ですよー!」「朝日が痛い!」 教会から来た聖女は、おじさんを吸血鬼と信じず社会復帰を笑顔で迫る! 伝説のドラゴンは犬と勘違いされ、コウモリの眷属は孫娘扱い、そして吸血鬼はヒキコモリのおじさんに。これは『吸血鬼』がお伽噺にしか出てこなくなった平和な時代。善意100%の聖女と吸血鬼との、平和なやりとりの記録である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nawade
12
★★★☆☆Web版未読。昔は伝説と謳われていたが、今はひきこもりのおっさんとなった吸血鬼のスローライフを乱す天敵、彼を更生させようとする聖女との熾烈なる戦いを描いた物語。彼以外の吸血鬼が絶滅し、お伽噺となった現代、吸血鬼であるという彼の説明を妄言と断じ、厨ニ病を拗らせた中年ニートとして扱う聖女。社会復帰させようとあの手この手で攻める聖女をのらりくらりと交わす攻防。更に彼らの元に集う幻獣。なんと切なく哀愁の漂う物語なのだろう。特にドラゴンに幻想を抱いている読者は注意すべきだ。この物語はその幻想をぶち殺す!!2018/08/26
真白優樹
11
平和な世の中で怠惰に引きこもる吸血鬼が、伝説を信じず更生させようとする聖女と出会い始まる物語。―――何だかんだで心地よい、だからこそ離せない。時代に取り残されたかつての伝説達の想い、そんな過去を信じず我が道を行く猪突猛進な聖女の思い。何だかんだでのらりくらりと流れる変わらぬ日々の中、若い元気なエネルギーに触れて吸血鬼が溜息をつく。そんな何気ない日常を綴った、のんびりとした呑気な空気のある作品であり、心穏やかにして読める作品である。癒し枠としてこれからも続いてもらいたい。 期待を込め、次巻も楽しみである。2018/08/24
くもり
7
まったり日常系。きらら系みたいな四コマを読んでるみたいだった。オチすら無い時もあるんだけど、たまにツボる。一気に読むには少し飽きがくるので、ちょこちょこ楽しむのが良いかも。2018/09/04
bluets8
6
舞台はファンタジーながら実体は、ニートに見えて実は資産家の冴えないおじさんと、無駄にやる気ある市役所の若手職員のやり取りの現代劇。その中で今の若者文化についていけないおっさんの叫びをコミカルに描いた作品。時折、妙にリアリティを感じる時があるのだけれど、もしかして実体験? あ、俺がおっさんだからかw 笑いは主に苦笑いながらまったり気楽に読める作品だった。2018/08/26
イシカミハサミ
5
タイトルの通り。 おっさんになった吸血鬼と、聖女の 社会復帰をかけた世紀末バトルが中心(ちょっと嘘) こういう短編を重ねる形は関根パンさんが 名手なんだけれど。 こちらもまずまず。 お二人よりもまわりの方々のキャラのほうが濃いような。 そして、わりと終盤にもキャラが増えたりで、 この世界観の全貌がほぼわからない。 意外にすごい事実が潜んでいるかも……! なにせ主人公、引きこもりゆえ。2018/10/17
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