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内容説明
青年嵐山が出会った破天荒学者の痛快評伝。
きだみのるはファーブル『昆虫記』の訳者で、戦後『モロッコ紀行』を書いた無頼派の社会学者である。雑誌『世界』に連載した『気違い部落周遊紀行』はベストセラーになり、渋谷実監督、淡島千景主演で映画になり大ヒット。嵐山は、『太陽』(平凡社)の編集部員であった28歳のとき、75歳のきだみのると謎の少女ミミくんと一緒に取材で各地をまわった。きだ怪人の破天荒な行状に隠された謎とは何か。新聞各紙、雑誌書評で絶賛の嵐の痛快評伝。
※この作品は過去に単行本版として配信されていた『漂流怪人・きだみのる』の文庫版となります。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たぬ
21
☆4.5 身長175。頭脳明晰。トライリンガル。68歳で人妻と作ったボクっ娘を連れ各地を放浪。居候先をゴミ屋敷にして嫌われる。洗面器で料理作成。八王子市議会選に最下位落選。甘粕大尉と知り合い、三島由紀夫とも面識あり…全然知らない人だったけどきだみのる(1895-1975)、濃すぎる。嵐山氏の筆力が高いから余計に面白い。ただ最終章は重苦しかった。直木賞受賞作とは言えど三好京三の『子育てごっこ』は今は読む気にならないや。きだみのる本人の著作はものすごく読みたいけど。2023/02/12
らっそ
8
自分の周りに きだみのる がいると困るけど、氏のような人が(批判されても)存在できた時代と、便利だけど融通の利かな現代は、どっちが良いんだろうか?二択だったら、いまの方が良いのかな。嵐山光三郎の漂流怪人と混沌とした時代への愛が溢れていた。 備忘録:「自由の代償は死ぬことなんだよ」とミミ君に教えた2018/11/23
まると
4
本当の自由人というのはこういう人のことを言うのでしょう。自ら実践して考えたところから時折出てくるアフォリズムに、深いものを感じる。大杉栄や甘粕正彦などの話もリアルタイムに出てきて、それがそれほど遠くない時代の話なのだと実感する。終盤のミミくんの数奇な後日談が、本に「しまりの良さ」を与えていて読後感が心地よい。きだみのるの「気違い部落周遊紀行」もいつか入手して読んでみたいと思う。2018/11/24
ユ-スケ
3
なにかの書評で読み、手に取る ”漂流怪人”というタイトルだけで気になるが、その実際はやはり怪人も怪人 ひと昔前にはこういった傑物が世の中にいたのだと痛感(いや、知らないだけでいまもいるのか?) 山頭火や尾崎放哉といった句人も自由を愛する漂流者だったが、この方もまた ただ、ファーブルの昆虫記を訳し、アナキストの辻潤とも交友のあった文化人 雑誌『太陽』元編集長の嵐山さんが引き込まれたのもうなづける 自由を追い求めると人はこうなる?2024/06/30
みさこ
3
★★★★ 著者の愛をすごく感じました。2019/11/25