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内容説明
生命活動に適さない外気、すべてが終末へ向かう世界で、その家で、彼と「彼女」は、本を読む。強靱で誠実なポエジーと圧倒的画才で、驚愕の才能が挑む新境地は、静謐で透徹したサイエンティフィック・フィクション。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Y2K☮
35
たとえば世界の終わり。そこに独りだけ取り残されたと軽く想像してみる。さほど悪くない。本があれば。けど体調が悪化したり怪我をしたりしたら? 強がってみても絶対的な孤立はやはり。勿論本を読む行為は己の中だけで完結できるもの。むしろ独りで自由に楽しむもの。でもその内容について誰かと話し合う事で意味と味が何千倍にも膨れ上がる。誰とでも成立する関係ではない。そんな大切な誰かと二人だけの世界を想像してみる。存外贅沢。表題作は最後の章が無くてもいい。有ってもいい。生涯を懸けて心の内に大聖堂を創ろう。自分だけの大聖堂を。2018/10/16
ちゅんさん
32
終末の世界でアンドロイドに本を読んでもらう話。出てくる本はどれもいい本ばかりなので作者はとても読書家だと思います。マンガだけど余白が多く詩的で普通のマンガとは一線を画す作品。装丁も豪華。主人公のヒゲとかメガネとか髪型が気持ち悪いけど、なかなか面白いと思う。2019/04/27
Tenouji
18
混沌とした闇の世界におちいる直前では、人間の心はつながりを求めてさ迷うのである。絶対的な悟りがあるはずだと、極限状態に挑む登山家の著述を追いかけたことがあるが、そこにあるのは、他者との他愛のない、つながりの記憶であった。そんなことが、この書では、とても静かな物語として描かれてることに、とても驚いた。読んで良かった。2018/12/22
江藤 はるは
11
私たちは不連続な存在であって、理解しがたい出来事の中で孤独に死んでゆく個体なのだ。2020/05/06
スイ
11
表題作、世界がほとんど終わってしまった後の静かな世界と、森泉さんの絵がぴったり合う。 特に本好きにはたまらないものがあった。 そこでムーミンは泣くよねえ…。 他の収録作も、短くても重さや強さのあるものばかりで、読んで良かった。2019/01/31