講談社学術文庫<br> 日本永代蔵 全訳注

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講談社学術文庫
日本永代蔵 全訳注

  • ISBN:9784062924757

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内容説明

金銀でかなわぬものは、命だけ――あらゆる欲に取り巻かれた新興町人たちの、おかしくもどこか悲しい群像劇。まじめ過ぎる商人、ドラ息子、度を越したケチたちが、人生の何たるかを教えてくれる。井原西鶴が貞享五年(1688)四十七歳で遺した、この町人物の大傑作にして蓄財指南の書は、江戸時代を通してベストセラーとなる。

目次

巻一
初午は乗てくる仕合/二代目に破る扇の風/浪風静に神通丸/昔は掛算今は当座銀/世は欲の入札に仕合
巻二
世界の借屋大将/怪我の冬神鳴/才覚を笠に着る大黒/天狗は家な風車/舟人馬かた鐙屋の庭
巻三
煎じやう常とはかはる問薬/国に移して風呂釜の大臣/世はぬき取の観音の眼/高野山借銭塚の施主/紙子身袋の破れ時
巻四
祈るしるしの神の折敷/心を畳込古筆屏風/仕合の種を蒔銭/茶の十徳も一度に皆/伊勢ゑびの高買
巻五
廻り遠きは時計細工/世渡りには淀鯉のはたらき/大豆一粒の光り堂/朝の塩籠夕の油桶/三匁五分曙のかね
巻六
銀のなる木は門口の柊/見立て養子が利発/買置は世の心やすい時/身体かたまる淀川のうるし/智恵をはかる八十八の升掻
解説
江戸時代の貨幣と経済

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

かんがく

13
元禄文化を代表する作家・井原西鶴の代表作。江戸時代の庶民の成功譚や失敗譚、金銀にまつわる短編が全30編おさめられている。注釈が豊富なので原文でも大意はわかるが、そこに丁寧な現代語訳、そして時代背景などの解説まで付いているのでとても読みやすい。北前船で栄えた酒田、敦賀、貿易で栄えた長崎、中心都市であった江戸、大坂、京都など日本全国の様子が活き活きと描かれている。金平糖を作って大儲けした人や、遊郭の屏風を売って稼いだ人、貧乏神にお祈りする人など、話としても面白かった。江戸時代の庶民生活を知るのに最適な史料。2019/02/07

いのふみ

4
本邦初の経済小説ともいわれる本書。明らかな誇張や法螺話まで用いて、商人たちの商行動や蓄財を肯定する。一方で、人の世を冷徹に洞察したり、常道を解いたりもする。西鶴はなかなかの曲者だろう。2021/03/27

禿頭王

0
日本初・世界初の経済小説。「始末大明神の御託宣にまかせ、金銀を溜むべし」「近道にそれぞれの家職を励むべし」「ただ金銀が町人の氏系図なるぞかし」「銀さへあれば何事もなることぞかし」など、資本主義社会を端的に言い表した言葉が痛快です。また、ビジネスの目の付け所やコンプライアンスの大切さなど、物語1つ1つから色々な教訓を引き出せます。中嶋隆『西鶴に学ぶ貧者の教訓・富者の知恵』とあわせて読むと、理解が深まります。2021/11/12

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