内容説明
「売れないものかき」の松下センセは書くのも遅い。過去の著作はどんどん品切れ重版未定の絶版扱いになり、病を押して散発的な注文原稿をこなしても生活は綱渡りだ。そんな作家が一番大事にしているのは夕方の妻との散歩。身の回りの自然、季節の移ろいを全身で体感し、河口に集まるカモメたちに餌をやる日々。子供たちや仲の良い友人たちと時間も楽しみの一つ。安上がりだけど満ち足りた幸福がここにある。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
qoop
8
環境問題に邁進した著者が、自身の生活をユーモラスに自然体で綴ったエッセイ集。気概に満ちていながら気負わない姿は、個人的に70〜80年代左派運動に携わる理想型にも見える。翻って現在、著者を模して模範になるとは思えない。改めて考えると、運動に携わるロールモデルは更新されていると言えるのだろうか。外面だけの装いではないのか。この気持ちを再考したい。2022/10/18
りい
2
夫婦の仲睦まじさから温かいものを感じた。特に奥さんがとても楽観的ないい人。こんな人になりたい。 お金は大切なものだけどそれが全てではない。よく言われる言葉だけど「清貧」という言葉に惹かれており「貧乏」には興味がないと書かれていたのがぐさっときた。2021/06/17
しゅんどーん
1
豊前火力反対運動や米海兵隊実弾演習反対運動の中心的存在として活躍した作家・松下竜一。優れたノンフィクション作品を世に送り出す一方で、決まった収入はなく、200万円の年収で大分県中津のボロ家に妻と高校生の娘と3人で暮らした。貧しいながらも、半身のような妻との穏やかな時間、巣立った息子2人が揃ったときの賑やかな時間など、何気ない日常こそが幸福なのだと教えてくれるエッセイ。2026/07/16
ぽった
1
ビンボーだけど明るい。良い夫婦だ。2025/08/16
ダイキ
1
今は亡き福田和也さんがまだTwitterを更新していた2010年に、「面白い」と紹介していた本。1990年から1995年までに書かれた随筆。同時代人であれば恐らく嫌悪感を抱いて堪えられなかったかもしれないが、こうして時を経て、ひとつの時代のささやかな記念碑として読む分には「古き良き」オールド左翼の日常と生活という感じで、寧ろ好ましさばかりが読後に残る。存命の同時代人としては、同じく福田さんが「日本のセリーヌ」と評した塩山芳明氏が、本書のような文章を、もっと支離滅裂で滅茶苦茶に、今もブログに書き継いでいる。2025/06/07
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