内容説明
ネコは人間をどう思っているのか、チョウはなぜ美しいのか、雪の中で生きる虫がいるのはなぜか。動物や虫たちには世界はどう見えているのか。私たちが生きる世界の不思議を、動物行動学者がユーモアを交えてわかりやすく綴る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
小梅
88
進化と自然淘汰についての疑問。大変興味深く読みました。奥様の巻末エッセイが良かった!そうか日高先生の専属イラストレーターは奥様だったのですね。最後にじんわりしました。2018/01/30
ふう
79
はじめの方はチョウなど昆虫のについての疑問と説明が多く、昆虫にそれほど興味がないのになぜこの本を手に取ったのだろうと思いながら読み進めました。「日高氏が書いたものだから」ですが、関心がないとこんなに理解しにくいのかと、子どもに学習への関心を持たせることの大切さと難しさを改めて感じました。ただ、ところどころに日高氏らしい考え方やおもしろい表現が組み込まれていて、それを頼りに何とか読み終えたというところ。文中にあった女学生のひと言「なぜ、そんなにいろいろなチョウがいなくてはいけないんですか?」と同レベルです。2018/01/30
ホークス
46
元本は1991年刊。動物行動学者の少し硬めの生物話。古いので鵜呑みにできないけど面白い。鱗翅類でも蝶は日中に翔び、蛾は夜に翔ぶ。蝶は異性もハネを見て探す。強度より面積重視のハネで頼りなくヒラヒラ翔ぶ。この翔び方には、多視点となり物陰の異性を見つけやすく、鳥にも捕まり難いという意外な効果がある。という話に3回膝を打った。生物の持つ仕組みには、ハチが仲間に蜜の場所を伝えるダンス、アリがエサからの道につける匂いなど色々ある。鳥のアイラインが鼻先に向かって伸びているのは獲物を狙う照準器だから。意識して見てみよう。2022/05/20
阿部義彦
29
動物行動学者の日高敏隆先生の、わかり易く書かれたエッセイ集です。春の妖精「ギフチョウ」から猫の生態観察、そしてチンパンジーにおける実験までどれも生き物に関する驚きと愛に満ちています。特に進化に的を絞った最終章は、如何に進化が誤解と偏見に満ちて未だに論争の絶えない問題を孕んでいるかを、本人は謙遜して素人として、分からない事だらけだと正直に疑問を呈して本当に刺激的でした。奥様の描いたイラストも素敵です。私も春になったのでギフチョウの実物を見てみたいなあと思っています。2018/03/29
ジョニジョニ
23
可愛くも幻想的な表紙にひかれて、たまには軽ーい生きものエッセイもいいかな、と思ったら、読めばよむほど重厚な、科学に裏打ちされた、学術的な、それでいて文芸的センスも楽しい本でした。いつからか、サルが突然変異と自然淘汰で進化して、ヒトになりましたとさ、と信じていた気がするけど、「チンパンジーはゴリラ・プラスアルファでもなく、ゴリラ・マイナスアルファでもない」という一文を読んで、そりゃそうだ、と思う。常識だと思いこんでいることほど、アヤシイ。2022/08/01