内容説明
2006年夏、甲子園決勝再試合に日本中が沸いた。早実VS駒大苫小牧。しかも駒大は、北海道勢初の全国制覇を成し遂げて以降負け知らず、前人未到の三連覇に王手を掛けていた。チームを率いるのは35歳の香田誉士史。輝かしい実績とは裏腹に、何が彼を満身創痍に追い込み、表舞台から引き摺り下ろしたのか。高校野球史上最も有名な監督を追った渾身作。第39回講談社ノンフィクション賞受賞作。
目次
プロローグ
第一章 幼年期(一九九五―九七年)
第二章 少年期(一九九八―二〇〇〇年)
第三章 青年期(二〇〇一―〇三年)
第四章 壮年期(二〇〇四―〇五年)
幕間
第五章 田中将大(二〇〇六年)
第六章 老年期(二〇〇七―〇八年)
エピローグ
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ユメ
38
駒大苫小牧を夏の甲子園で「二.九連覇」に導いた香田誉士史監督を追ったノンフィクション。相当な取材量を積み重ねる著者の仕事ぶりに感服。後半は本当に読むのが辛かった。監督は「勝ち過ぎた」ことによって高校野球の光も闇も吸い寄せることになってしまったのだ。そして、著者自身の痛みも滲むことによって本書はますます凄味を増す。著者は監督を敬愛しているが、神と祀り上げることはせず、真実を暴く手を緩めはしない。あの夏にどれだけの夢を見たか、その思い入れの深さがこれだけの仕事をさせ、読み手の心にも忘れがたいものを刻んでゆく。2019/04/19
007 kazu
32
「雪国は弱い」そんな高校野球の常識を覆し、3年で甲子園の2連覇+準優勝という離れ業をなした駒大苫小牧香田監督の栄光と転落。長い冬、グラウンド練習ができないことがハンディとされる中、氷点下の雪上での練習を敢行、屋内では道具を使わずに守備や走塁のイメージトレーニングを実施。雪国の限界を佐賀出身監督が突き破っていく様は今でいうイノベーションそのもの。「町おこしは若者、馬鹿者、よそ者」と引用しているが全てを兼ねている。が、優勝して嬉しかったのは最初の3分だけ。勝てば勝つほど大きくなるプレッシャー。(続く)2019/10/31
リキヨシオ
26
これ本当にあったのか?すごい内容!「北海道の高校は甲子園で勝てない」という常識を打ち破った「駒大苫小牧」は夏の甲子園で優勝、優勝、準優勝の「2.9連覇」を成し遂げた。雪国の常識を打ち破る練習方法、はじめての甲子園優勝、マー君こと田中将大の成長、駒大苫小牧とハンカチ王子率いる早稲田実業との伝説の死闘…若くして高校野球の歴史の残る偉業を成し遂げた駒大苫小牧の監督「香田誉史士」のサクセスストーリーは2.9連覇後の「勝ち過ぎた監督」になった故の副作用により、高校野球の闇を垣間見る怒涛の展開へと変貌する。2020/05/01
Urso
25
駒大苫小牧高校で優勝、優勝、準優勝の2.9連覇を成し遂げた香田監督を中心にしたドキュメント。あの盛り上がりの中でこんなにも凄まじい天国と地獄の繰り返しのようなドラマがあったとは。香田監督の人間的な魅力を形成している性格がゆえの苦しみが読んでて辛かったけど、わたしも、この先また甲子園に出る高校を率いてくれないかと期待する一人になりました。2019/01/30
とんとん
14
読む前に想像していた内容とは全然違うものだった。また高校野球のイメージも変わった。とても面白かったです。 当時の駒大苫小牧の試合をもう一度見たくなりました。2020/01/08