中公文庫<br> とちりの虫

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中公文庫
とちりの虫

  • 著者名:安岡章太郎【著】
  • 価格 ¥1,012(本体¥920)
  • 中央公論新社(2018/08発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784122066199

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内容説明

昨年の春、中古のルノーを買って乗り始めてから、間もなく一年になるが、其の間に私は、交通違反でつかまった事が三回ある。その三回とも、奇妙な事に、友人の安岡章太郎が関係しており、これは私には、ただの偶然とはとても思えない。――阿川弘之

私が仕事にかかるふりをしていると、襖がすこしずつ開いて、その隙間から嘲けるような笑いをうかべて、彼はじっと窺っているのである。私もそっと彼の部屋をのぞくと、安岡は布団の上に寝そべって天井を眺めながら鼻毛をぬいているのであった。――遠藤周作

浪人三年、落第一年、秋風がふくと終わらない夏休みの宿題を想い出してゾッとする。出がけには必ず忘れものをし、約束の時間を一時間まちがえてウロウロ。泥棒に入られれば何も盗まれるものがなく警察に困惑され、文学賞の授賞式では緊張してシドロモドロになる。どうも自分の身体の中には一匹の虫が棲んでいて、それが自分を終始とちらせたり、失敗やへまをくり返させたりしているらしい――青春時代をユーモラスにつづる自伝的回想、作家仲間との楽しいやりとり、鋭さを笑いで包んだ社会観察など、著者の魅力が凝縮された随筆集。阿川弘之と遠藤周作によるエッセイを新たに収録。〈解説・中島京子〉

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

真琴

7
★★★★☆ 自伝的エッセイ。幼少期の頃からの「劣等生キャラ」による出来事はクスッと笑ってしまう。また、自身や周囲の人、時世などに対して鋭く観察し切り込んでくるが一貫してユーモアが溢れている。夏休みの宿題の件は、氏の頃から今に至るまで子供は変わっていないのだな。「ユニフォーム考」で述べられる「何にしても制服をとおして人間を眺めるという習慣はなるべく早く一掃してしまいたいものだ。さもないと、やがて僕らは思考のユニフォームを着せられるかもしれない」(P248)は今にも通じることだと思った。日本(人)の課題かな?2023/08/30

地下道入口

2
「つまり、プルースト並みの書斎をつくって勉強するには、やはり他の生活条件もプルースト並みに高まらなくてはダメである。」(本書p.72)の一文が何故かツボにハマった。2018/09/20

ジュリ(村上)

1
安岡氏のゆるいエセー。ときどき話が二転三転することがあるが、そんな時は『安岡氏の講演をライブで聞いている』と思うことにした。米国暮らししたほどなので英語には一家言あるのだろうか、野球選手が手にはめるアレをグローブではなくちゃんとグラヴと書いているのは驚いた。自慢話は少なく、全体的にトホホで軽い話が続くが、ユーモラスなエピソードでもその背景となっているのは戦争や戦後だったり病気であったり、そして先進国である米国で暮らす日本人という位置付けであったりするなど、ところどころ、悲しみ、諦めも感じられる。2020/11/04

うかれ

1
40年以上前の本なのに、物事の考え方にほとんど古さが感じられないのがすごい。「書斎の工夫」面白かったです。遠藤周作とのエピソードなど、エッセイに度々出てくる作家たちとの交流も楽しい。2018/09/30

さく

0
名前のイメージから堅苦しい感じの人かと想像してたけど、読んでみたらまるで違った。小説も読んでみたい。2021/09/01

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