内容説明
老中・水野忠邦による天保の改革から二十年。黒船来航以降、恐慌を来す江戸の町を、勤王の志士を騙る剣呑な浪人たちが跋扈するようになっていた。さらにその黒幕には、薩摩藩の巨魁の影が…。失われた秩序を取り戻すべく、我らが榊扇太郎が江戸の顔役たちとともに立ち上がる!「闕所物奉行 裏帳合」シリーズに連なる、待望の文庫書き下ろし。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
166
闕所物奉行 裏帳合シリーズが完結して6年後、上田さんが本当の意味での最終巻という本作が刊行されていたのに今頃の読書になった。時は維新、大きなうねりの中で扇太郎は朱鷺との間に子を持つ親となっていた。あぁここで天満屋が…江戸の行く末を見届けてと、末期の言葉が切ない。天満屋の仇を討って「さて、明日からどうやって稼ぐか」扇太郎親子が新しい時代を逞しく生き抜く姿が見えるようだ。2021/01/13
とし
82
「闕所物奉行 裏帳合」の最終巻。番外編のような感じですね、闕所物奉行を拝命されていた主人公榊扇太郎が小普請組に、幕末激動時代の庶民と職を無くした浪人たちの生き様を知ることに。2021/01/07
Atsushi Kobayashi
20
闕所物奉行 榊扇太郎シリーズの後日談。はなし的には取って付けた感がありますが、幕末~維新の頃の江戸庶民はどうだったか?ってあんまり見たことがないので、その部分が新鮮。 確かに上野でいくさがあるときに、奉行だ商人だって、言ってられないです。。。2018/07/20
forest rise field
19
このシリーズは初めて、というより時代劇的な小説自体が初読みでした。ちょうど、武士の時代が終わりを告げようとする時代を背景にしており、徳川を後ろ楯に出来なくなった慶応年間。江戸庶民や旗本御家人から幕末の世を垣間見る。上野戦争のさなかの最後の決闘シーン、相手が薩摩示現流、息をつまらせながら読みました。 このシリーズは、これで最後との事。徳川の終焉とともに旗本、御家人たちの世も終わる。2020/07/22
はかり
16
維新の頃の江戸の風情を描いたもの。御家人の榊扇太郎は貧乏だが、剣の腕は立つ。薩摩藩が次代を牛耳るために、江戸の庶民をも巻き込んでいく。深川の顔役である天満屋孝吉とつるんで薩摩藩に対抗していく。闕所というのは知らなかったが、シリーズでもあったらしい。また読むか。2020/12/28