内容説明
創作の自由を失い、流浪の旅をへて亡命した高行健は、中国語作家として初めてノーベル賞を受賞した。余華および閻連科は、その著作の過激さから発禁処分を受けるも、内外でノーベル賞の有力候補と言われている。本書は、三人の作家たちの講演、日本の著名作家との対談、オリジナル・インタビューをとおして、世界的に高く評価されている中国文学の魅力と、中国の激動の現代史をリアルに伝える。高行健×大江健三郎、ノーベル賞作家対談を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
TATA
31
大学の時、中国文学の講義を履修した。授業内容は殆ど覚えてないけど(笑)、老舎や囲城を読んでレボートを書いたことは覚えている。それから彼の国は大きく変貌したのだが、中国の方が人民大革命や大躍進運動、はたまた今の経済格差の拡大をどう感じているのか。外国文学はその国の民族と歴史と政治を学ぶ有用なツール。高行健、余華、閻連科といった現代中国作家の思いに触れてまた読みたい本が増えていきます。2019/06/09
ののまる
11
余華と閻連科の話が最高に面白い!余華はたくさん読んできたけど、閻連科はこれからなので、すごく楽しみ!2018/08/11
きゅー
9
中国の代表的な作家として高行健、余華、閻連科を取り上げ、彼らの文学世界を紹介する一冊。今回は高行健のパートのみ読むことにした。インタビュー、講演ともに彼は徹底的に文学を政治に対比させて語っており、例えば「時代と共に変わる政治を超える「人間の歴史」を書くのが文学で、こちらの価値は時代が変わっても続きます」などと発言している。天安門事件を機にフランスに亡命した彼にとって、政治は大きな問題だとは思うのだけど、むしろ必要以上に政治にフォーカスを当てているように見受けられたのが残念だった。2018/11/21
ひろゆき
3
高行健、余華、閻連科の講演、対談など。大江健三郎が述べているように、現代中国文学の水準はもう日本を凌駕している。この三人も村上春樹などが中国でよく読まれているので、手にはしたものの、結局ほぼ読んでいないという。外国にいる高行健は別として、余華、閻連科ともに中国の現状を自由に語っている。創作する上での心構えなども語られ、小説書く人には役立つかと。2018/08/31
冬薔薇
2
余華のみ読んだことがある。戦中、文革、天安門と中国の作家は政治的言動からは切り離せない。国内外でどのように考えているのか興味深い。「無力で小さな個人の真実の声が偉大な文学を生み出す」時代とともに変わる政治を超える人間の歴史が書かれているものが後世まで残る、と。現代中国の作家の小説をもっと読みたいと思う。2019/06/09