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内容説明
太平洋戦争における敗戦とともに、姿を消した日本海軍。しかし、その中で培われた「伝統と気風」は、時をこえて不滅である。本書は、著者の、海軍にまつわる中・短編小説、紀行、随筆を集成して、在りし日の輝きを偲ぶとともに、功と罪の複雑に絡み合った歴史の渦中に、現代に生きるための教訓を見出そうとするものである。海軍ファンならずとも日本人として読んでおきたい作品集である。内容は、「私のなかの予備学生」、「私記キスカ撤退」、「荒城の月――広瀬武夫私記」、「二十八年目の真珠湾」、「アッツ紀行」、「海軍のふるさと――江田島今昔」、「舞台再訪 雲の墓標」、「わたしの海軍時代」、「暗号と私」、「山本聯合艦隊司令長官閣下」、「青い眼の長門艦長」、「東郷元帥の功罪」、「広瀬武夫余話」、「小泉さんと海軍」、「『ああ同期の桜』に寄せる」、「余命と無常感」、「漢口の正月ハワイの正月」と、よみごたえあるライン・アップ。名文で味わうひととき。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さっと
9
先日読んだ『山本元帥!阿川大尉が参りました』(私のソロモン紀行)に触発されて、海軍好きでも何でもないが、氏の紀行文を読みたくて手に取る。パールハーバーで米軍協力のもと奇襲作戦を上空からなぞる「二十八年目の真珠湾」、隣島でありながら無血作戦のキスカとは対極の結末を遂げた玉砕の島に降り立つ「アッツ紀行」、海軍兵学校→海自の幹部候補生学校の変貌「海軍のふるさと―江田島今昔」、九州の特攻基地(航空隊跡)を訪ねる「舞台再訪 雲の墓標」を収録。これだけ海軍モノを収集しながら、なぜに「山本元帥!~」は外されているのか?2022/12/30
tnyak
2
亡父が好きだった阿川弘之作品を初読み。海軍提督三部作も読んでみたい。2022/09/06
kitakita
2
敗戦から70年以上過ぎ、太平洋戦争を体験された方はかなり少なくなっているのは間違いない。自分も50近くなり残りの人生を考えると、わが子に日本の過去のありようを伝えていきたい。本著に出てくるところでは行けないところもあるが、有名なところは記憶と心に留め置きたいと思う。2018/11/12
しなじい
2
もともと、子供のころから船が好きで、中学生のころ「坂の上の雲」を読んで海軍の大ファンになった。高校のころは海軍関連の本を手当たり次第に読んで、大学の卒業論文でも海軍を取り上げた。最近は「艦これ」にハマって、昔集めた蔵書を本棚の奥から引っ張り出してきたり、無くしてしまったものを買い直したりして少しずつ読んでいるが、改めてその不思議な魅力と奥の深さに心地よさを感じると同時に、思春期の頃にハマったという妙な親近感というか、「どうも、お久しぶりです」とでも言いたくなるような気持ちを禁じえない。2014/05/10
Eiji
0
旧帝国海軍をテーマにした小説、エッセイなど18本を収めた作品集。中でも「広瀬武夫余話」を読み、この間の多数の犠牲者を出した韓国船沈没から逃げだした船長に、戻らない杉野上等兵を助けるため一人沈み行く福井丸に戻り、船内を3度も捜索し戦死した広瀬武夫の爪の垢を煎じて飲ましたいものだと強く思った(何ならキムチを混ぜても良し)。あと、最後にある、特攻隊として出撃する若者の家族への想いは感涙を呼ぶ。しかし、壮絶を極めたアリューシャン列島アッツ島・キスカ島での奮闘ぶりにはただただ頭が下がる。2014/03/10